047 隆二 eyes ページ47
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俺が手を差し伸べたい人は、ただひとりだ。
「ATSUSHIさん・・・、もう1回聴いてもらっていいですか」
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次に歌ったときもまだ、完璧ではなかったけれど。
ずっと出しにくいと思っていた声はずいぶん楽に出て、長いこと苦しんだのが信じられないくらいだった。
あまりの驚きに、歌い終わってからもしばらく呆然とする俺。
そんな俺を見たATSUSHIさんはよっぽど可笑しかったのか、しばらく笑いつづけたあとに涙目をこすりながら
「誰のために、なにを歌うか・・・頭じゃなく、心で考えるんだ」
そう教えてくれた。
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「登坂には話したのか?」
その質問に、いえ・・・と首を振る俺。
臣に話したら絶対心配すると思ったから、言わなかった。
気を使われて、臣が自分の歌に集中出来なくなることが一番嫌だった。
「じゃあ登坂が苦しんでても、自分が集中出来なくなるから話すなと思うのか?」
それは・・・、そんな訳ない。
一緒に解決していきたいと思うに決まってる。
「お前ら7人は、運命共同体なんだ」
「運命共同体・・・?」
「全員がその覚悟を持てたとき、お前らは最強のグループになるよ」
俺、この人に憧れてよかった。
この人の近くで歌をやらせてもらえて、よかった。
明日、臣に全部話そう。
あいつはきっと、手の甲を口元に当てて。
「そんなことで悩んでんの、ダッセ」
って笑うだろう。
だけどきっと、何度だって歌の練習に付き合ってくれる。
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「臣、ちょっと聴いて」
たまたま2人きりになった楽屋で歌った、“いつかきっと”
歌い終わって目を開けると、ポカンとする臣が目に入った。
でもすぐにニヤッと笑って片手でハイタッチしたあと、その手を強く握って。
「・・・良いじゃん。」って言ってくれた。
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この数ヶ月歩いてきた真っ暗闇のトンネルに出口の光が見えた。
出口までの距離はわからない。
きっとまだまだ遠いんだと思う。
だけど僅かな光を頼りに周りを見渡せば、そこにはメンバーや友達、家族、ファン・・・
そしてAちゃんの姿が見えて。
どんなに遠くても、歩こうと誓った。
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みほこ(プロフ) - ニヤニヤがとまりません♪そしてまさかのピアス発見!!主人公ちゃんと隆二くんのかわいさに私もお仕事がんばれます♪もちろん、これからも楽しみにしてます♪ (2016年6月8日 9時) (レス) id: 6b3f9fe695 (このIDを非表示/違反報告)
紫 (Yukari)(プロフ) - みほこさん» コメントありがとうございます☆プレゼントの反応、更新しました。いかがだったでしょう( ´ ▽ ` )ノ この先も読んでもらえると嬉しいです! (2016年6月7日 21時) (レス) id: 2484694bbd (このIDを非表示/違反報告)
紫 (Yukari)(プロフ) - ねーやんさん» それなら良かったです(><)ATSUSHIをぶっこむタイミングを日々模索中・・・!(笑) (2016年6月7日 21時) (レス) id: 2484694bbd (このIDを非表示/違反報告)
みほこ(プロフ) - プレゼントの反応が楽しみです♪ (2016年6月6日 23時) (レス) id: 6b3f9fe695 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - わけわからなくなはってませーん(^_^)むしろ個々の雰囲気が出てきた感じですねぇ。ATSUSHIのぶっこみ楽しみにしてます。ってか臣くんがぶっこんできましたね(笑) (2016年6月4日 11時) (レス) id: 99e7168525 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫 (Yukari) | 作成日時:2016年5月30日 23時