035 隆二 eyes ページ35
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眠る彼女の頭を撫でながら、思う。
俺がずっとそばにいてあげたい。
小さな身体で抱えこんできた色んなモノを、俺にもわけてほしい。
こんなに人を愛しく思ったのは初めてだよ。
「────・・・っくしゅんっ」
あ、風邪引いちゃう。
小さくくしゃみをした彼女を抱き上げて、寝室へ向かう。
ゆっくりベッドへ降ろしてタオルケットをかけてあげたそのとき。
目を閉じたままの彼女が、俺の頬に手を伸ばして。
「どこにもいかないで、そばにいて・・・」
って言ったんだ。
俺の胸の中は、切なさと愛しさが溢れて。
伸びる手を捉えて強く握り、自分の頬に押しつける。
「大丈夫だよ、ここにいるから」
胸が苦しくて、涙が出て、声が震える。
目を閉じたままの彼女は、ますます悲しそうに眉を下げて。
俺の頬から手を離したと思ったら・・・
俺を優しく引き寄せて、抱きしめた。
覆いかぶさる俺をぎゅうっと抱きしめながら
「泣かないで・・・」
消えいりそうな声で呟いた彼女は、また寝息をたて始めて。
俺はそっと身体を離したあと、彼女の隣に横になって・・・
手を握って、温もりを分け合って、眠った。
.
朝、目が覚めると隣にあるはずの彼女の姿はなく。
昨日の話は夢だったのか・・・?
もしかして彼女の存在自体が幻だったんじゃないか?
そんな妙な感覚に襲われて、飛び起きる。
「よかった、いた・・・」
リビングのドアを開けるとき、ガラスの向こうに見えた彼女。
窓から入る夏の朝日に照らされて、その表情までは見えないけれど。
ソファーの背もたれに頭を乗せて、腕を天井に向けて伸ばしてる。
ブレスレットを眺めてるんだと気づくのに、時間はかからなかった。
思わず笑みがこぼれた俺はドアを開けて、彼女に声をかける。
「おはよー!」
「あ、おはよー隆二くん!」
空き缶だらけだったテーブルは綺麗に片づけられていた。
「わ!綺麗になってる!ありがとう!」
「いいのいいの、こちらこそ泊めてくれてありがとう」
いつ寝たのか全然記憶がないや、としょんぼりする彼女にホッとしたのは・・・
昨日の話にどんな顔をしていいのか、まだわからなかったから。
.
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みほこ(プロフ) - ニヤニヤがとまりません♪そしてまさかのピアス発見!!主人公ちゃんと隆二くんのかわいさに私もお仕事がんばれます♪もちろん、これからも楽しみにしてます♪ (2016年6月8日 9時) (レス) id: 6b3f9fe695 (このIDを非表示/違反報告)
紫 (Yukari)(プロフ) - みほこさん» コメントありがとうございます☆プレゼントの反応、更新しました。いかがだったでしょう( ´ ▽ ` )ノ この先も読んでもらえると嬉しいです! (2016年6月7日 21時) (レス) id: 2484694bbd (このIDを非表示/違反報告)
紫 (Yukari)(プロフ) - ねーやんさん» それなら良かったです(><)ATSUSHIをぶっこむタイミングを日々模索中・・・!(笑) (2016年6月7日 21時) (レス) id: 2484694bbd (このIDを非表示/違反報告)
みほこ(プロフ) - プレゼントの反応が楽しみです♪ (2016年6月6日 23時) (レス) id: 6b3f9fe695 (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - わけわからなくなはってませーん(^_^)むしろ個々の雰囲気が出てきた感じですねぇ。ATSUSHIのぶっこみ楽しみにしてます。ってか臣くんがぶっこんできましたね(笑) (2016年6月4日 11時) (レス) id: 99e7168525 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫 (Yukari) | 作成日時:2016年5月30日 23時