Winter love story ３

029 隆二 eyes ページ29

..R..



都内某所にある撮影スタジオ。


の、近くにある公園の前に車を止めて彼女を待つ。




正面からパタパタ走ってくる姿が見えたときはついつい、顔が綻んで･･･


そしてなにかにつまづいて転びそうになる姿に青ざめて(笑)





「お疲れさま！(笑)」


「お疲れー！･･･見てた？いまの」


「コケそうになってたね(笑) つーかAちゃん走り方ダサい！(笑)」


「嘘でしょ！？ ダサい！？」


「ダサいっつーかなんか危ない(笑)」


「ひっどー」




クリップでアップにしていただけの巻き髪をほどく彼女からはすごくいい匂いがする。



昔から疑問なんだけど、女の子ってなんでこんな匂いなんだろう？





「直帰で大丈夫だったの？」


「うん！麗香ちゃんが“あとはやりますから帰っていいですよ”って言ってくれて･･･」




麗香ちゃんもLDHのメイクさんで、いつもはEXILEさんのほうについてる。




「岩ちゃんが麗香ちゃんの荷物持ちして事務所戻るって張り切ってた(笑)」


「あーあ、麗香ちゃんロックオンされてんじゃん」






何気ない会話の中、信号待ちで止まったとき。


横顔を眺めていたらそれに気づいたAちゃん。


「ん？」って首を傾げる。



「急に誘って･･･ごめんね？」

って謝る俺に、プルプルと首を振って。


「嬉しかったからいいの」

と笑う彼女に、「それは俺だから？」

なんて聞けるはずもなく･･･。





一進、一退 を繰り返す関係。





.







「いいんだってば！」


「大丈夫！今日はいらない！」


「遠慮すんなって！」


「だってわたしだけじゃ悪いしつまんない！」




ダイニングバーの個室で言い合いになっている理由、それは。




「でも俺、飲酒運転するわけにいかないし！」


「だからわたしも飲まない！」


「飲まないなんて絶対無理じゃん！」


「人をアル中みたいに言わないで！」




･･･ってこと。





「もー･･･Aちゃんめっちゃ頑固！じゃあメシだけ食って俺んちで飲み直す？」


って聞いたのは、下心があったわけでも作戦だったわけでもない。



「それいい！そうする！」


って答えた彼女もまた、きっとなにも考えてなかったと思う。






ボディバッグの中に潜んでいるプレゼントは･･･家で渡すことにした。





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