Winter love story ３

001 隆二 eyes ページ1

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翌日、いつもの笑顔が帰ってきた。




「おかえり、マイナスイオン！」

そう言って抱きつく岩ちゃんは、さっそく癒しを補充しているらしい。


臣に引き剥がされてたけど(笑)





出演者もスタッフも、みんなが「おかえり！」って声をかけていく。


彼女もひとりひとりに頭を下げて、謝って、笑わせて。




こんなに周囲を明るくする人、他にいるのかな？



俺はとんでもない人を好きになってしまったと思う。



とんでもない人だから･･･惹かれたんだけどね。







Aちゃんが倒れたとき

すぐに対応するATSUSHIさんを見て正直ショックだった。


２人が過ごした時間や絆の強さを見せつけられたような気がした。


苦しがるAちゃんも、俺らなんか視界に入ってなくて･･･手を伸ばした先はATSUSHIさんだったし。





だけど彼女が運ばれたあと、ATSUSHIさんに呼ばれた俺らはこんなことを言われた。



「この先こういうことがあったら、お前らが１番に助けてやってくれ」



だからATSUSHIさんはあのとき俺らをステージから降ろしたんだ。



まっすぐに俺らを見る強い視線に、背筋が伸びる。




「･･･わかりました」




そう答えた俺らにひとりずつハグをして、背中を２回叩いて。




「ありがとう、頼んだよ」って微笑んだ。






このことをキッカケにするのはちょっと不謹慎だけど

胸のつかえが取れた俺は、ツアーまでの残りの時間を全力で取り組むことが出来た。





そして

あっという間に迎えたツアー初日の前夜

名古屋のホテルで。




そわそわと落ち着かず部屋でフリの確認をする俺と

ベッドにうつ伏せになって俺を見る臣の元に聞こえたノック。




────･･･ コン、コン





「Aちゃん！どうしたの？」


「休んでるとこごめんね？ちょっと渡したいものがあって」




コレ、と俺らに手渡したのは、ブルーのふわふわした生地で作られた･･･





「お守り？」


「うん、無事に成功するようにと思って作ってみたの」


「うわ、すげー！刺繍入ってる！」




それぞれに名前の刺繍と、裏には二種類の花の綺麗な刺繍。




「プリムラとカランコエっていう花でね、花言葉があるんだよ」




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