空っぽな訳 ページ8
そのまま“遥さん”を置いて、私の手を握ったまま学校を出た大夢くん
暫く歩いて、多分ここは学校近くの公園
大夢「ごめんね、急に…」
手、痛かったよね…大丈夫？
私に触れる大夢くんの手は細くて女の子より大きい
そして何より優しい
『ううん、大丈夫』
私が触れても良いのか、良くないのか
大夢「多分気づいてたと思うけど、さっきの人が元カノ…」
恥ずかしいとこ見せちゃったよね、、
あの子が元カノさんだったのか
聞こえちゃった話の端々でそんな気はしてた
『ううん、そんなことない』
お別れしちゃったの…？
あんなに可愛い子とお付き合いしてた大夢くんにびっくり
モテるんだなぁきっと
大夢「うん、2ヶ月前にね、向こうの浮気で」
さっきも言ったんだけど、どんなに良い思い出で関係を積み上げられても、たった一度の裏切りで全部なくなるんだよ
良い記憶なんて残らない
空っぽなんだよね
やっぱり昔の話をする大夢くんの表情は苦い
恋愛って、良いことばっかりじゃないよ
嫌なことたくさんある
俺の話聞いて嫌になっちゃったんじゃない？
立て続けに話す大夢くんを何も言わずに見てた
『でも、空っぽなんて言ったらダメだよ』
大夢くんとその人の間で幸せだった記憶があるなら、それを無かったことになんてしちゃダメ
その人を好きになった大夢くんに失礼だよ
大夢くんの話を聞いていて思った
幸せだった記憶まで消しちゃうのは、過去の自分に失礼じゃないかって
また私の悪い癖だ
入らなくて良いところまで入り込んでしまう、悪い癖
大夢くんの様子を見てれば、黙り込んでしまった
大夢「…俺、帰るね」
完全にやらかした
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作者名：ゆあん | 作者ホームページ：
作成日時：2024年3月2日 3時
