. ページ30
Aから教えてもらった曲は、落ち着いたテンポで語りかけるような歌声で。
心が安らぐような気分だ。
白湯を飲みたくて、ソファにかけてお湯が沸くのを待ってたんだけど。
聴いてたら眠くなってきちゃった。
風邪引きそうだから、せめて沸かしたお湯だけでも飲んで、ベッドで寝ようって思ってたんだけど。
"僕はさよならが欲しいんだ"
"ただ微睡むような"
"もの一つさえ云わないまま"
"僕は君を待っている"
優しい歌声。でも歌詞が寂しいからか、Aを思い出してしまう。
ケトルがカチン、と音を鳴らす。
その音で、少しだけ目が覚めて。
マグカップにいれて、さすがに飲めないからまたベランダに出て少し冷ます。
マグカップに映るのは、ゆらゆらと揺れる月。
丁度頃合いかな、と思って一口飲んで見ると、自分好みの温度になっていて。
まるで月の光を飲んでるみたい。
なんて言ってみるけど、本当なんだ。
雑踏だらけの街の灯りの中で、こんないい月を1人で見てる。
「……"僕はさよならがほしいんだ"、か」
きっと歌詞なんか気にせずに、自分の好きな曲を教えてくれたんだろうけど。
いつか、Aがさよならも言わずにふらっと消えていくんじゃないかって。
マグカップの中身を飲みきってから、また部屋に入ってソファに座って、月を眺める。
「……やっぱ、おいでって言えばよかった」
なんで家に来たいって言ったAを断ったんだろう。
Aがどこか遠くに行ってしまったら。
そんなことを思いながら、通知の来たスマホを開く。
A《次は将吾んち絶対泊まったるからな！》
メッセージとともに、おやすみのスタンプが送られてくる。
……ちょっと、考えすぎたのかな。
AからのLINEに安心して、ベッドに行かなきゃって思ってたのに、そのまま目を開けれなくなっちゃった。
寂しかったけど、なんだか大丈夫な気がして。
曲も流したまま、月の光に照らされながら俺は眠りについた。
翌朝、風邪をひいて、しかも寝坊してしまって柾哉くんたちに怒られてしまったのは、また別の話。
"ヨルシカ/嘘月"
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 235人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
lilac(プロフ) - 刹那さん» よかったです、、！またいつでもリクエストお待ちしてます^_^ (2月10日 1時) (
レス) id: d9605496df (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - 全然大丈夫です！夕愛くんも同じ病気がありながら音楽を届けている存在だなと感じているので、夕愛くんの頑張りが自身の力にもなっています！ (2月5日 15時) (レス) id: 4d02090172 (このIDを非表示/違反報告)
lilac(プロフ) - 刹那さん» リクエストありがとうございました！そうなのですね…！私はまったく関係なく、周りにもこの病気の人がおらず調べて書いていたので、実際と違うことがあったりして不快な思いをさせていないでしょうか…？またいつでもリクエストお待ちしております！ (2月5日 12時) (レス) id: d9605496df (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - こんばんは！リクエスト作品を書いてくださりありがとうございます！蓮くんの優しさと暖かさが幸せです！夕愛くんと同じ病気を持っているのでその辛さも分かるので感情移入してしまいました！翔也くん夕愛くんコンビも蓮くんとのコンビも大好きです！ (2月4日 22時) (レス) @page40 id: cd78df7e31 (このIDを非表示/違反報告)
lilac(プロフ) - dog1111さん» ごめんなさい…！プデュの書こうと思っていた部分でまた構成させていただきます！ほかのリクエストもお待ちしております…！ (1月28日 13時) (レス) id: 1e671c596b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：lilac | 作成日時：2023年12月29日 16時
