Prologue 3

その先の答えならば ページ16

requested story＿＿＿＿＿＿

🐨Side

奨「───と、いと、A。朝だよ、起きよ」

朝、いつものように奨くんが起こしに来てくれる。

「……んー、……」

奨「起きるよ。手貸して」

起きる、そうや、起きなあかん。

起きる、起きる、起きろ。

頭ではわかってるけど、目を開けることも、奨くんの手を掴むこともできひん。

「…しょ、くん、手掴んで」

奨くんに手を取ってもらって、そのまま引っ張ってもらって起き上がる、はずやった。

ざあっと脳から血が抜けていく感覚。

2重にも3重にもなる視界。

遠くてノイズがかかったような奨くんの声。

───あ、今日、あかん日や。

奨「っ、おっと、」

起きてられへんくて倒れ込んだところを奨くんが抱きとめる。

「……、しょおく、……今日ちょっと、……っ、」

奨「顔色悪いね。横になってな。ちょっとナオトさんに連絡するから待ってて」

横になってもぐるぐると続く目眩に、目を瞑って落ち着くのを耐えようと思っててんけど、久しぶりの感覚に呼吸が浅くなる。

「はぁっ、……は、っ、はぁ、……はっ、───」

奨「仕事調整してくれるって───A？」

きん、と耳鳴りがしだして、浮遊感に吐き気を覚えながら身体がベッドに縫い付けられたみたいに固まって動かなくなる。

奨「A、聞こえる？A、」

しょおくん、って声に出す前に、プツリと意識が途切れた。

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す