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オッパと目が合ってしまったけど、私はすぐに視線を逸した。
SN「…ったく。」
「っ…」
SN「片付けやるぞ。」
「！ソヌくん…！？」
そのままその場から動けなくて固まっていると、ソヌくんに腕を引かれて個室に入った。
SN「…あの女、前に言ってたやつか？」
個室に入ってすぐボソッと口にしたソヌくんに、私は静かに頷いた。その拍子にポロッと溢れた涙が、床に落ちた。
「っ、ごめんなさい…」
SN「…謝んな、お前悪いことしてないだろ。」
そう言ったソヌくんは、泣いてしまった私の頭を優しく撫でた。
いつもみたいに私をバカにして笑ってくれたらいいのに、その優しさが余計苦しくなった。
SN「俺が片付けるから、それまで座ってろ。」
「…っ、ううん、私も…やるっ。」
SN「いいから。」
ソヌくんは私を無理やり個室の角に座らせると、そのままひとりで片付けを始めた。
仕事中なのに、こうやって泣いて迷惑をかけてしまって。本当に最悪だ。
グクオッパが、あの女の人と浮気してるとかそういう風に思ってるわけじゃないのに、頭の片隅ではオッパを疑ってしまう自分もいる。
女の人が苦手なのに、あの人とはあんな近い距離にいても平気なら、きっと特別なんだもん。
「…っ、ソヌくん、やっぱりやる。」
SN「大丈夫か…？」
涙を拭って立ち上がった私も片付けを始める。
あのまま座ってる方が、いろいろ考えてしまってしんどくなるから、まだ働いてるほうがいい。
「…うん、大丈夫。」
SN「接客中だけは、笑ってろよ。」
それだけ言ったソヌくんは、パパっと最後にテーブルを拭いて個室を出た。
私もお皿を手に、ソヌくんに続くようにして足を踏み出した。
廊下にはもう、グクオッパとあの女の人の姿は無くなっていた。
『…あ、Aちゃん！これは俺が片すから、注文お願いしていいかな？』
「え、あ…はい。」
厨房に向かうと、店長が私の手からお皿を取り上げて注文をお願いされた。
今まで教育係のソヌくんやテヒョンくんと一緒にしかやったことなかったけど、チラッと見たソヌくんは忙しそうにしてたから、声をかけずに個室に向かった。
「…はあ。」
注文が入った個室は、さっきも訪れたグクオッパがいる飲み会の個室だった。
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作者名：ぴぴ
| 作成日時：2020年6月3日 2時
