017 ページ17
.
見てしまったからには、もう遅い。
私は静かにその場を離れることしか出来なかった。
「私のことなんて…嫌いになったのかな。」
グクオッパは女の人が苦手だって言ってたし、付き合ってから今までずっと、女の人の前であんな笑顔を浮かべるグクオッパは見たことがなかった。
「…私、天気にも嫌われてるのかな。」
トボトボと歩いていると、唐突に降り始めた雨。
通り雨かな。
あいにく傘なんて持ってないから、びしょ濡れだ。
でも、ちょうどよかったのかも。
これなら周りを歩く人にも、泣いてることなんてバレないよね。
『…おい！！！』
「…っ、！？」
びしょ濡れになりながら歩いていると、急に後ろから腕を掴まれて、すぐ近くで大きな声が聞こえた。
「…え、」
SN「お前、バカなの…！？」
「ソヌくん…」
振り返った先にいたのは、私に傘を傾けて怒った顔をしているソヌくんだった。
無心で歩いてたから気づかなかったけど、バイト先の近くだった。
SN「…お前、泣いてる？」
「…っ、ぅ…ふぇ…」
SN「は？ちょっ、泣くな…！」
急に大泣きし始めた私に、ソヌくんが困ったような顔をする。
辛いときに人に優しくされたら、そんなの当たり前に泣いちゃうよ。
SN「何があったのか知らねえけど、お前びしょ濡れだからバイト先行くぞ。」
「…っ、ひっ…く…」
しゃくりをあげている私の手を掴んで、スタスタとバイト先に向かって歩いて行くソヌくん。
ああ、さっき見たオッパも、こうやってあの女の人に腕引かれてたな。
SN「…ったく、傘無いなら雨宿りくらいしろよ。」
「…ごめんなさい。」
バイト先につくと、タオルを手にしたソヌくんが私の頭にタオルを雑に被せた。
被せられたタオルのせいで暗くなった視界。
私が泣いてるから、見えないように気遣ってくれたんだろうな。
SN「…着替え、俺の服だけど。」
「え…？」
私の目の前に差し出されたソヌくんのTシャツ。
どうやら、バイト先に置いていた物らしく、びしょ濡れの私に貸してくれるらしい。
「…いいの？」
SN「貸すって言ってんだろ。ほら、休憩室まで濡れるから早く着替えろ。」
そう言ったソヌくんに肩を押されて、私はいつもバイトの制服に着替えるための更衣室に入った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴぴ
| 作成日時：2020年6月3日 2時
