よんじゅうなな。 ページ48
．
わぁっと観客が湧く中で、廉くんだけが私の光で、
私は廉くんがいれば他には何もいらないと、そう思えた。
舞台を駆け下りて、いつも私を暗闇から引っ張り出してくれる廉くんの手に手を伸ばす。
この手を二度と離さない。
離しちゃいけない。
「真部のことさっきちゃんと振ってきた」
体育館から走って抜け出した後、誰もいないいつも図書室へと来ていた。
「だからいなかったんだ」
「おん。
ちゃんとしてからAちゃんの事迎えに行きたかったんやけど、先越されちゃった」
照れたように、だけど嬉しそうに笑う君は眩しくて、好きだなぁと思うばかり。
「あ、そういえばブレスレット、
なんか勝手に付けちゃってごめんな」
廉くんと繋がれた左手の手首には銀色のリングが光ってる。
「…大切な人の形見だって聞いた」
「…うん、小学校の時の先生でさ、
もうおばちゃん先生だったんやけど。
俺親が忙しくてよくお世話になってたんだよ。
やんちゃしてたし。
そんで、俺が中学ん時、先生入院したんだよ。
そん時はもう先生の事とかあんま考えてなかったんやけど、
偶然病院行った時に会って、また何度かお見舞い行って会ってた。
ガンだった。
もう末期で、どんどん弱ってく先生を見るのが辛くて、
最後の最後でお見舞い行くのやめちゃったんだよ。
先生が死ぬところ怖くて見れなかった」
廉くんはきっとすごく後悔してる。
私は何も言えなくて、ただ握った手に力を込める事しか出来なかった。
「しばらくして先生の娘さんが俺に会いに来たんだよ。
遺品整理してたら俺宛の手紙を見つけたって。
先生息子を亡くしてた。
娘さんのお兄ちゃん。
その息子が俺に似てたんだって」
初めて廉くんの涙を見た。
綺麗な涙。
きっと本当に、愛されていた。
「このブレスレットは先生が息子さんから母の日に貰った物らしい。
それを俺に渡したいって。
娘さんも、先生が子供みたいに見守ってきた俺に持っててほしいって。
このブレスレットがある限り、天国から見守ってられるって。
だから俺、先生にAちゃんを守ってもらいたかった。
俺はもう平気だから、Aちゃんを助けてあげて欲しかった。
俺、なんも出来なくてごめん」
廉くんは自分のせいで私がいろいろ言われてるのに気づいていて、
ずっと悩んでいたんだ。
------
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1854人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍(プロフ) - ゆかさん» 直ぐには無理ですが、気長に待っていただけると嬉しいです(>_<;) (2018年11月23日 23時) (
レス) id: 6c68d58261 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - ゆかさん» ゆかさんコメントありがとうございます！繰り返し読んで頂けて嬉しいです。続編はおいおいあるかもしれませんがこのページの容量がいっぱいなので別の形になるかと思います。 (2018年11月23日 23時) (レス) id: 6c68d58261 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 完結後もずっと読んでます!お時間があればで構いませんので付き合った後のお話書いて欲しいです。 (2018年11月23日 21時) (レス) id: 52df92afc4 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - ひかるさん» ひかるさん！！笑 コメントありがとうございます！ まぁ実際には...いないですよね笑笑笑 うぉー！！それは頑張って完結させなければ...なかなか遅筆になってるのでおまたせしてしまうかと思いますが、もうしばらくお待ちください(>_<;) (2018年10月17日 11時) (レス) id: 20736a0343 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - 実はこっちも読んでました笑 廉くんの見守り方が素敵でいちいちイケメンでキュンキュンしました///私の学生時代にもこんな人がいてくれたらなぁって思ったり… 神くんの新作は完結したら読もうかなと笑 (2018年10月17日 6時) (携帯から) (レス) id: 075c6f1d28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藍 | 作成日時：2018年8月9日 0時
