気づかないふりをする２ (ページ28)

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吸い込まれてしまいそうなほど
キレイな瞳。

その瞳には
たくさんの涙が溜まっていて
瞬きするたびに
ひとつ、
またひとつとこぼれ落ち
彼女の手を握ったままの
俺の手に当たる。

『叫んで何かが変わる？』

『………』

『何も変わらないよ……
ただ…虚しくなるだけ…』

『………』

『あ……でもね、
いいこともあったんです。
父はもうわたしの前には現れないと
約束してくれました。』

『………』

『娘を売ったんだから…
当然ですよね…』

『お父さんはあの社長から
お金を借りてたってこと？』

『詳しいことはわかりません。
でも２人の間で話は済んだはずです。

家を出てからは
父がいつ訪ねて来るだろうって
ドキドキしながら生活していました。
でも今はそれがなくなった…

なくなったけど……
その代わりに今は社長がそばにいる… 』

『俺が……助けてあげる。』

『………』

『明日、あの社長と話しして
俺がAちゃんを』

『やめてください。』

『……どうして？』

『どうして？
当たり前じゃないですか！！』

『俺は……Aちゃんのこと、
ほっとけない…』

『……同情？』

『違う！同情なんかじゃない！！』

『………』

『信じて？俺のこと…』

『………』

何も言わない彼女を
抱きしめた。

抱きしめながら
誓ったんだ…

俺が君を守るから…って。