勝利チャイム�� ページ10
「裏で動いてた……って」
俺は思わずイルカを見た。
「どうしたの？」
俺の視線に気づいたイルカはにこやかに返すが、空のボトルを持つ手に力が込もっているのが分かった。
「……怒ってるのか？」
「え？ いやいや、僕が怒るはずないじゃない」
にこにことイルカが言った瞬間、手元のボトルがぐしゃっと潰れた。
「……」
「怒ってないよ。ねぇ？」
そのままの笑みを、固まったオオガミとアネモネさんに向けるイルカに、俺は若干恐怖を覚えた。
「……俺は」
隣のアネモネさんにちらりと目をやり、オオガミが口を開いた。
「元々ゲームに参加する予定じゃなかったんだ」「……えっ、そうなのか！？」
「ああ。つーか、その……何だ。……くじらを、連れて来るように言われてたんだ」
俺のスマホに招待状を送るのは、元々オオガミの役目だったらしい。それを、オオガミは決行しなかった。
「どうしてだ？」
「……さすがに拉致みてぇな事はしたくねぇよ。いかにカタギじゃなくてもな」
「カタギじゃないんだ……」
イルカが苦笑する。オオガミの外見から薄々そうなのかもと思ってはいたが、改めて聞くとカタギではない奴が目の前にいる事に違和感を覚えた。
「……イルカは俺と再会する前に、アネモネにも会ってたよな？ 二人が別れた後、イルカと会うより前に俺はアネモネと会ったんだ」
「二人が話したのは知ってたよ。何を話しているんだろうとは思ったけど、その時は再会を素直に喜んでるのかなと思ったんだ」
「知ってたのかよ……」とオオガミの口元が歪んだ。こいつ何でも知ってんのか、と言いたげだ。
「その時に言われたんだ。イルカにバレないように、くじらをルームに招待しろってな」
「俺を？ アネモネさんが何でそんな事を……」「……何の話かしら」
ふいっと顔を背けるアネモネさんが、俺をゲームに呼べとオオガミに命令した？ 何のために？
「オオガミくんは何でそれを引き受けたの？」「……引き受けたわけじゃねぇよ。ほとんど強制だった。……あんま詳しい事は言えねぇけどよ」「へぇー……脅されてるんだ」
イルカがにこりと笑って言う。オオガミは苛立った顔で視線をそらした。
「仕方ねぇだろ……俺はくじらを招待しなかったから、どうしようかと思って店を出たら、スマホに招待状が届いて、やべぇと思って店内に戻ったんだ」
「結果的に、君もくじらくんもゲームに巻き込まれちゃったんだね」
イルカはため息をつくと、空のボトルをゴミ箱に捨てた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろーさぎ(プロフ) - 転スラリムるさん» いえいえ、こちらこそありがとうございます！！アニメみたいに面白く出来ると良いんですけどねぇ……更新、頑張らせて頂きます！ (2020年3月26日 9時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
転スラリムる - ありがとうございます！アニメ系しか見てなかったので嬉しいです！更新頑張ってください!! (2020年3月26日 9時) (レス) id: a9f5253a4a (このIDを非表示/違反報告)
転スラリムる - あ (2020年3月26日 9時) (レス) id: a9f5253a4a (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - オレンジ100％！さん» ありがとうございます……！！とても嬉しいです！はい、更新頑張らせて頂きます！ (2019年10月27日 17時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ100％！(プロフ) - 昨日から読み始めました！面白かったです！更新頑張ってください！ (2019年10月27日 16時) (レス) id: 173ea3e1dd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
