指先の熱【Hokuto/Juri】 (ページ6)

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先に入ってとりあえず電気のスイッチを押す

靴を後ろで脱ぐ樹が部屋の鍵を閉める音がした

ドアチェーンまでかけてくれる所から無駄にしっかりしているなと思う

ヒールから開放された足が悲鳴をあげている

樹が煙草を吸っている間にお風呂にお湯をはろう

それで、入れる頃には出ていってもらわないと

そんなことを考えながら廊下を2.3歩進んだ私の体を、突然後ろから伸びてきた腕が強引に引き寄せた

『きゃっ、！！』

2本の腕はするりと肩を掴み腰を撫でる

同時に首には熱い吐息を感じた

『ね、樹やめて…』

樹「あいつは、お前を助手席に乗せる時は随分と安全運転なんだな」

『っ、見て……！』

顎を捕まれ樹の方を向かされる

余りの強引さに逃げることも、手を振り払うことも出来ない

押し当てられた唇

その熱さに目眩がした

抵抗しようと振り上げた腕は簡単に捕まってしまう

樹の大きな手が私の手首を掴んで、そのまま体ごと壁に押し付けられてしまう

樹「……は、っ、」

『んんっ、はなし……んっ、』

"離して"そう言おうとした時開いた唇の隙間から樹の舌が入ってくる

ざらざらとした舌の感触に腰が砕けてしまいそう

上手く酸素が吸えず苦しくなる

これ以上は頭でダメと分かっているのに、絡まる舌が思考を奪う

手首を掴んでいた手が今度は指と指と絡ませてくる

強引に唇を奪ったかと思えばこんなに優しく手を繋がれる

樹「…Aがもう会わないって言ってもどうせすぐ来るって思ってたのに、お前まじで来ねぇじゃん」

『曖昧な、関係なんてもういらないのっ』

樹「お前は俺が好きなんだと思って油断してた」

『…なにいって……んっ』

その言葉を最後に思考を遮断するようなキスがまたふってきて

もう考える力なんてとうに無くした私は、樹に体を委ねるしかなかった