思いよ、届け (ページ7)

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もう人を助けたりしない、なんて決めた15歳の夏。

この日はいつになく暑くて
急遽潤くんと友達と5人で川に遊びに行った。

午後13時

暑さもピークに達してきているとき

「なあ、かき氷食おうぜ」

友達がそう言って近くのカフェに入った。

かき氷が待ち遠しくて何度も時計を見てしまう。

13時37分

ブーブー

「誰かケータイ鳴ってるよ」

それは潤くんのケータイで、

席に座ったまま電話を取り話し始めたけど
だんだん表情が険しくなっていき

突然ガバッと立ち上がってケータイを耳に当てたまま僕をガン見する。

「…？」

どうしたの、そう言いたいところだったけど潤くんが何か言いたそうな表情で、

いや声にならずに口をパクパクとさせている。

「と…父さんと母さんが！！」

やっと聞こえた声に全てを悟り、かき氷を忘れその場を飛び出した。

ダッシュで病院に向かった。無我夢中で走った。

電話の相手は智にぃでお父さんとお母さんが事故に遭ったことを淡々と話していた。

「智にぃっ……」

ベンチに智にぃと翔ちゃんとまーくんが肩を落として座っていた。

「…父さんと母さんは、？」

潤くんのか細い声が静まり返った廊下を通り抜けていく。

「ねえっ…父さんは？母さんはっ？」

「まだ処置中。運ばれてきた時から意識はないって」

「っそんな…」

力が抜けて地面に座り込む

ボーっと一点を見つめたまま何も考えることが出来なかった。

義理の父と母とはいえ、僕にとっては本当の親同然だった。

生まれてすぐに亡くなった僕の両親。

ここまで育ててくれた義理の親。
記憶にあるのはいつだって一緒に暮らしてたお父さんとお母さんだった。

僕の両親には感謝している、
でも同じくらい今のお父さんとお母さんにも感謝している。

死なないで。

どうか。

お願い、神様。