思いよ、届け (ページ11)

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あの日

何があったかは分からない。

ただ呆然と母さんと父さんが亡くなるのを看取って、俺が長男だからしっかりしないと。そんなことを考えていた。

そんなとき、

「かずくん！？聞こえるかなー？かずくーん？」

慌ただしい空気が流れ込んでくるのと同時に和の意識が無いと伝えられた。

…こんな時に和までっ

苦しそうに顔を歪めて目を閉じてる。

かず…お前まで、、いくなよ。

翌日

和の病室は真っ暗だった。

電気は点いている。

陽の光も入り込んでいる。

だけど闇の中にいるような感じだった。

翔と雅紀は力無くソファーに座り朝ごはんで渡したおにぎりを口に運んでいる。

潤は和の手をぎゅっと握って泣きそうな顔して見つめている。

「潤、ご飯食べな」

いやいや、と首を振る

「お前まで倒れたら和が困るだろ」

翔の優しくも厳しい言葉を素直に頷くとおにぎりを食べ始める。

「…っん、、んー…、」

「どした？」

久々に見たな潤の涙。

「んっ…おいっしくないー」

「あ(笑)」

なんだ。

俺も味がしなかったよ。

ちらっと翔を見ると雅紀と見つめ合って笑っている。きっとみんな味は感じなかっただろうから、分かるんだろうね。

頭を撫でられる潤は完全に末っ子だ。

でもこんな時だから甘えさせてやらないとすぐに甘え方が分からなくなってしまうから。

和がお兄ちゃんだもんね、

早く起きてよ…