思いよ、届け (ページ2)

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『あなたは人を助けることが出来るの』

夢の中で何度も聞いた言葉。

纏わりつくように頭の中を回る。

この家に来た時僕は7才だった。

自分の“能力”に気がついたのはこの頃だった。

きっかけは潤くん。
いつものようにお兄ちゃんを巡って喧嘩をしていた時、潤くんを思い切り床に押し飛ばしたのだ。

頭から床に転んだ潤くん。
大きなコブができすっごく痛そうで、泣いてる潤くんにすっごく申し訳なくて
僕も涙を溢れた時。

一瞬、クラッとする光が放たれたと思ったら潤くんの泣いてた声が聞こえなくなった。

何が起きたか分からない僕たちはポカンとしていた

「かず、俺。いたいのなくなったよ？」

「よかったね！」

笑って言うからつられて笑う。

本当はこの時夢か現実か分からなかった。

だって、この光景

夢で見たものと同じだったから。

誰かが怪我をする夢。

その隣で涙を流す小さな男の子。

その男の子の涙が怪我をしている子に落ちていくと怪我が治る、そんな夢だ。

ただその時は潤くんに申し訳なくて溢れた涙だった。
しかもそんなことで本当に傷が治るのか、

不思議だった。

夢と現実の境目が分からない。

ここは…夢？

それとも現実の世界？

ねぇ、教えてよ