四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ8)

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咥えていた形代を外して、声に応えた。

「誰？誰なの……」

桃「あのバカ……！」

イミゴが、鳥居の前で立ち止まった私の方へ走ってくる。

桃「何やってんのや！形代を外して声を出すとか！帰るんやなかったんか！！」

緑「マイちゃん……」

イミゴの後ろからゆっくりとカミヤマさんが歩いてくる。

緑「なんで立ち止まってしまったん。これで君は見つかってしまった。境界から出ることができへんようになってしまったんやで」

桃「一体どういう了見なんや。今までみたいなおっちょこちょいじゃ済まされへんで！
もうこの方法は知られてしまった。此岸帰りは気づかれやんように隠れて境界を出て行くんが一番重要やったのに、おまえのせいで全部パーや！」

「わ、私だって帰りたかったよ！でも、声が聞こえたの」

緑「声…？」

「中間の家でも聞こえたの、私を呼ぶ声。助けてって、何度も何度も」

桃「バカ！自分のことだけ考えてたら良かったんや！今、どれだけ神社がおかしくなってるんか、自分がどれだけ危うい立場なんか、全然理解できてへん！」

「じゃあイミゴがあの声を聞いてみればいいんだよ！あんなに苦しんでるのに……！」