四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ6)

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－此岸帰りページ6

“此岸帰り”

一、形代を二つ用意し、片方に名を記し息を三度吹きかける

二、名を記した形代は彼岸へ、迷い子は無地の形代を咥え、門から此岸へ

ついに此岸帰りを行うことになった。カミヤマさんは、形代と筆を掲げて見せた。

緑「ここに二つの形代があるやろ？まず一つに名前を書くんや。そして息を三度吹きかける。その形代は拝殿に置いとく。これで、形代が一時的にマイちゃんの身代わりになってくれる」

「はい」

緑「そんで残りのもう一つ。名前を書かんと口に咥えて門から出る。名前を書いた形代が、ここでマイちゃんの身代わりをしてくれるから、名前のないマイちゃんは外に出られるようになるんやで」

「なるほど…」

桃「なんや、ホンマに簡単なんやな。もうちょっと何かあると思ったのに」

緑「じゃあマイちゃん、筆をとって。この形代に名前を書いて。間違えやんようにね」

私は机の前に正座して、筆を手にとった。

「私の名前。苗字は……桐山。名前は……A」

緑「桐山Aで間違いないな？」

「はい、桐山Aです」

緑「じゃあ形代に書いて……うん、大丈夫やね。それじゃその形代に息を三度吹きかけて」

私は形代に三回息を吹きかけた。

ほのかに形代が温かくなったように感じる。

緑「では、その形代は拝殿に置いて。何も書いてへん形代を持って」

桃「外出るで」