四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ45)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:10,376 hit

－ページ45

？「オギャァ……オギャァ……」

「産まれました菊様、淳太様、たまのような赤ちゃんです！ずいぶんな難産でしたが母子共に健康であられます」

黄「ほんまか……！良かった」

「お子様は双子ですよ」

黄「双子！？」

「ええ、もう少しお待ちください。支度が整いましたら奥様とお子様をこちらへご案内いたします」

黄「ああ、ありがとう」

真「淳太さん」

黄「真由美、大丈夫か」

真「ええ、ご心配おかけしました」

黄「辛い思いをさせてもたな、でもありがとう……頑張ったな」

出産の疲れで目にクマができ、少しやつれたように見えたが、真由美は微笑んだ。

真「まさか二人もお腹にいたなんて、驚いたでしょう？」

黄「ああ、医者からは全くそういう話はなかったから」

「淳太様、真由美様、お子様がこちらに」

産まれたばかりの赤ん坊がくるまれているのであろう、純白のおくるみがベビーベッドにのせられてやってきた。

「元気な男女の双子ですよ、先に産まれたのがこちらの女の子、後に産まれたのがこちらの男の子ですわ」

そう言われて淳太がのぞきこむと、しわくちゃの真っ赤な顔が二つならんでいた。

黄「み、見分けがつかへんな…」

真「双子ですから」

真由美がクスクスと笑う。

黄「そういえば、男女の双子やったら名前はもう決まりやな」

真「そうですね、どちらも考えたけれど無駄にならずにすむなんて」

黄「女の子は“A”」

真「男の子は“望(のぞむ)”。これから親子で支え合っていきましょう」

「聞きました？中間の家で双子が産まれたとか」

「本当に？ただの噂ではなかったの？」

「本当よ、中間家はこの事実を隠したかったみたいですけど」

「なんて恐ろしい……よりにもよって四ツ目神社の宮司である淳太様のもとに双子が産まれるなんて」

「奥方に原因があるのでは……なんでも巫女の力があるって言うじゃないか」

「一度に何人も産むなんて、まるで家畜のよう」

「ねぇ、後に産まれた方がお世継ぎになるのよね」

「ああそうだ。先に産まれたのは “女の子” だったそうだ」

「そう、それじゃあその “女の子”が九月のお彼岸に、四ツ目神のもとへ送られるのでしょうね」

───END 時戻し