四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ42)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:10,424 hit

－７ページ42

桃『何でも自分で背追い込もうとしてさ、まるでオレらが不幸でおるんが当然みたいな顔して。カミヤマは自覚ないんやろうけどな、哀れむとか同情とか、そういうんは相手に対して失礼な事やってあるんやで』

不機嫌そうにまくし立てたイミゴは、フッと息を吐いて優しく言うた。

桃『父さんと母さんはオレら双子を守ろうとして死んだ。やからオレは、もしマイがここに迷い込んでしもうたら助けようと思う。カミヤマと一緒にここで母さんを──四ツ目神を見守り続けるで』

緑『……』

桃『なんやねん、何か言いや』

緑『全然、忌み子っぽくないな』

桃『やからさっきから何なんやねん』

緑『感動してるんよ』

桃『なんで』

緑『なんでも』

桃『馬鹿にしてへんか？』

緑『するわけない』

桃『……よぉ分からんけど、褒め言葉として受け取っとくからな』

緑『……ふ、ふふ』

とうとう俺は堪えきれず、大声で笑った。

緑『ははははっ』

桃『なんで笑うんや。笑うとこやないやろ』

緑『一生分からんでええよ』

桃『一生って、もう死んでるやろ』

緑『それもそうや』

いつまでも笑い続ける俺に、イミゴはうるさ！と蹴りを入れた。

イミゴにはわかるはずもない。今のイミゴの言葉が、どれだけ俺の心を救ったかなんて。