四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ41)

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？『オギャァ……オギャァ……』

彼岸の庭に、赤ん坊の泣き声が響く。俺はその赤ん坊をゆっくりと抱き上げた。

緑『久しぶりやな、キミが新しい“いらない子”か……人間の業はなんでこんなに深いんやろうね』

この子もきっと、中間の家を恨むんやろう。

もし自分が生き残りやったらと思うんやろう。

親の愛情を求めて寂しがるんやろう。

そして俺から離れていってしまうんやろう。

ほかの子と同じように。
俺が許される日はこないんやろう───。

桃『なんで決めつけるんや』

返ってきた返事は以外なもんやった。

あまりにビックリして目を丸くしてしまう。

緑『中間の家が憎くないん？』

桃『そうは言うてへんやろ、でもなんで最初から決めつけてるんや』

緑『決めつけてなんかあらへんよ』

桃『じゃあなんで驚いてるんや』

緑『……』

二の句が継げへんかった。そんな俺を横目に、イミゴは溜め息をついて呟いた。

桃『カミヤマってさ、なんで自分から不幸に向かうん』

緑『え？』

桃『呪われたこの村を見守り続ける？何のために』

緑『何のためって…そう求められたから』

桃『じゃあなんで四ツ目神の守になったんや』

緑『それは……弟が俺を憎んでるやろうから』

俺の生は、弟の犠牲の上に成り立っていた。俺が弟にできる償いは、それくらいしかなかった。

桃『それや』

緑『え？』

桃『なんで弟の気持ちを決めつけてるんや』

緑『決めつけって…当然そう思うやろ？』

それを聞いたイミゴは不機嫌そうな顔をして言うた。

桃『俺はその弟と同じ立場やから言うけど、俺はそんな事考えてへん。中間家のことは許せやんけど生き残った方を恨む気にはならへん。生き残った方が絶対幸せなんか？カミヤマはあの家で暮らして幸せやったんか』

緑『…』

桃『そりゃ“生”は羨ましいけど、生きるんが辛いことやってあるやろう。生き残ってあんな家に縛り付けられるとかさ、オレは絶対嫌やわ。

この土地には父さんも母さんもおる。でも生き残ったマイには親がおらん。どっちが不幸かとか考えたらあかんのや。やからカミヤマも弟が不幸やと決めつけんなよ。弟が死んだんは自分のせいやとか加害者意識も大概にせえよ』

緑『そんなこと……』