四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ36)

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－カミヤマページ36

「カ、カミヤマさん…」

緑「なかなか鳥居に来やんから探しにきたんよ。マイちゃんはもう帰るんやろう。なんでこんな所におるん」

「カミヤマさん……あの、望が……」

私の数歩先、カミヤマさんの足元に望は倒れている。

カミヤマさんは、ああ、と気楽に言った。

緑「イミゴがおったら話がややこしくなってまうから。大丈夫、少し眠ってるだけやで」

そう言いながらカミヤマさんは笑みを崩さなかった。

緑「ほら、鳥居から出たら帰れるから、一緒に行ってあげるで。さぁ」

カミヤマさんが手を差しだす。

私はその手を拒むように両手をギュッと握った。

「カミヤマさん……私、ここでやらなくちゃいけないことがあるんです」

緑「マイちゃんはこの神社から出るんが目的やったやろ？四ツ目神の監視はもう無い。目的は達せられるはずや。これ以上何をすることがあるん？」

「私は……双子の望を、助けたいんです」

緑「ダメやで」

その場の空気がピリッと冷たくなった。

変わらず微笑みを浮かべるカミヤマさんへ、私は警戒しながら言った。

「どうして止めるんですか」

緑「マイちゃんは、このまま神社を出るべきや。そう言うてるんやで」

「答えになっていません。どうして、望を助けようとする私を止めるんですか」

緑「質問に答える義務はない。イミゴをここから出さへんって言うてるんや」

「……」

緑「今度は俺が質問する番や。なんでイミゴをここから出そうとしてるん」

「それは……望が殺されてしまうこんな世界が間違っていると思うからです。私は、望を救いたいんです」

緑「救う？君のおる世界が幸せやとでも？」

「……」

緑「人間の業は深い。何百年も前からずっと変わらへん。ここに咲く彼岸花の数だけ悲劇があった。俺はずっとみてきたんや」

「何百年も前からずっと見てきたって、カミヤマさんは一体……」