四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ34)

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「ねぇ、ここは忌み子送りや水子供養された子どものお墓なんだよね。なんでお母さんもここに埋葬されてるの…？」

桃「主に埋葬されんのは忌み子送りの子どもたちやけど、母さんは中間の家から異端扱いされて死んだんや。中間家の墓に入れるわけないやろ」

「そっか……でも私、お母さんのお墓がこっちで良かったって思う。だって望がいるから」

桃「そうやな。でも、父さんとは一緒にしてやりたかった」

「あ、そっか。お父さんは中間のお墓に……」

桃「最期は父さんも母さんと同じように座敷牢に閉じ込められて死んだって聞いた。やのに、父さんは中間家の墓に入れられた。親の最後の執着……やったかもしれへんな」

「………」

真ん中には小さな池がある。

桃「この池は鏡池って言うんや。あんまり近づくなよ、見かけによらず結構深いんや」

私は、望の言葉を聞きながら“時戻しの書” のことを考えていた。

「……」

私は望の忠告を無視し、水際に立った。
そして、時戻しの書を手にとってその文字を目で追う。

時戻しの書から、ほんのりと力を感じる。

読めないと思っていた祝詞が、まるで知っていたかのようにスッと頭に入ってきた。

今なら読むことができる。時戻しをすることができる。
この運命を、やりなおすことができる。