四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ30)

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とびきりの笑顔を見せた母は、私の手に一粒の涙を残して、ゆっくりと光を放ちながら溶けるように消えた。

「お母さん……」

私は母を抱きしめた腕に顔をふせ、泣き続けた。

桃「A、母さんを助けてくれてありがとな」

「……望」

桃「母さんはずっと苦しんでたんや。オレを助けられへんかったことも、Aと離れ離れになってしまったことも、父さんを残して死んでしまったことも、全部自分の責任やと思い込んで」

「悪いのはお母さんじゃないのに…」

桃「そうやで。でも、オレ一人やったら母さんを救うことはできひんかった。Aがおったから、母さんは父さんのとこへ行くことができたんや」

赤「そうや、おかあさんもう苦しないって！」

青「マイねぇちゃんが見つけてくれたから！」

ダイキくんとリュウセイくんが私に飛びついてきた。

赤青「「ありがとうマイねーちゃん！」」

「ううん、お母さんを助けられてよかった」

ダイキくんとリュウセイくんにとっても、母は“お母さん”だったんだろう。

母は、“いらない子”として殺された寂しい魂たちの母になっていたんだ。

「望は、ずっとお母さんの側にいて見守ってくれていたんだね」

桃「そう言うたら聞こえはええけどな……母さんと一緒になりたかったけど、そうなる勇気がなかっただけや」

「でも、私を助けてくれたのは事実だよ。ありがとう、望」

できれば望も抱きしめたかった。ありがとうって気持ちをもっと伝えたかった。

約束があるから、それは叶わないけれど。

緑「四ツ目神の核たる存在であった真由美さんは浄化された。マイちゃんはきっともう安全に神社から出られるよ」

「はい」