四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ24)

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黄『母さん！正気ですか、自分の孫を忌み子送りにするなんて……』

母『淳太、あなたこそ正気ですか。何をうろたえているのです』

黄『母さんは自分の孫を殺す気ですか！』

母『私の孫はA、ただ一人です。それに、殺すのではありません。四ツ目神のもとへお返しするのです。あの子は間違って産まれてしまった子なのですから、そうするのが正しいのです』

黄『俺には……それが正しいこととは思えません』

母『何を言うのですか。四ツ目神の成り立ちを忘れたのですか』

黄『……』

母『古くは平安の頃九〇四年、この地を治める者のもとへ産土神(うぶすながみ)からの神示有り。
生まれ出づる子は双子で合わせて四ツの目をもち、神の子である。しかし神力は人の手に負えるものにあらず。村を危機から救いたくば次子に彼岸花の毒をささげ、神のもとへ送り返せ。
さすれば神力は破壊から転じて子孫繁栄と豊穣をもたらすであろうと。領主は神示の通り儀式を行いこの地に恵みをもたらした。神のもとへおくられた弟君へ感謝と畏怖の念をこめ、この四ツ目神社が建立された。

──何度も復唱したはずです』

黄『そ、それは……』

母『中間家の当主であるあなたが、これしきのことで動揺してどうするのです、なんて情けない』

黄『しかしッ──』

母『話は以上です。もう忌み子送りの儀式は決定しています。あなたも宮司なら覚悟なさい』

黄『真由美は……真由美はどうしてるんですか。病気と聞いてましたが、まさか……』

母『……余計な詮索はしないことです。儀式を遂行することだけ考えなさい。

──あなたも閉じ込められたくなければ』

黄『母さん！！』