四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ17)

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「ピッタリ……」

私はイミゴから受け取った鈴を、お守りにつけてみた。

色が少し違うけれど、元からついていた鈴とピッタリ同じ大きさだ。

まるで、元からここにつけられていたかのようだ。

末社に来た私たち。

大きな岩にあるくぼみ。

そのくぼみは、先ほど鈴をつけたお守りにピッタリとはめ込めそうだ。

私はポケットからお守りを出して、そのくぼみにはめ込む。

「すごい、ピッタリ」

お守りは、岩のくぼみに吸い付くようにピッタリとおさまった。

そして、お守りがぼんやりと光りはじめる。

「え…！？」

桃「マイ！」

イミゴが触れないように私に覆いかぶさった。

「……」

──末社にあった巨大な岩が砕け散っていた。

そして岩が退けられた崖には人ひとりがやっと通れるほどの空洞が見える。

「これって…」

「わぁ…」

末社の洞窟を抜けると、まるで血を垂らしたような深紅色の彼岸花が一面に咲き乱れていた。

ここは切り立った崖のくぼみにあるらしい。

見上げると、ぽっかりとそこだけハサミで切り取ったように丸い空が見えた。

地面のほとんどは彼岸花で埋め尽くされているが、真ん中に小さな池が見える。

「凄い…」

この世のものとは思えない景色に、私はしばらく見惚れていた。

私の後ろにいたイミゴがささやくような声で言った。

桃「ここは、“彼岸の庭”って言うんや」

「彼岸の庭？」

桃「そ、神様の庭」

「凄いね、本当にこの世の光景とは思えない」

いくつか岩も立っている。
古びたものもあれば、新しくみえるものもある。

「こんなところに手鏡が…」

桃「持っといたらええんちゃう」

「え？」

桃「三種の神器に八咫鏡(やたのかがみ)があるように、昔から鏡は神具として扱われてきたんや」

「そうだね、岩に置いたお守りもなくなっちゃったし、
この手鏡をお守りがわりに持っておこうかな」

落ちている鏡を拾い上げて、汚れをはらった。