四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ11)

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－彼岸の花ページ11

あらためて、私たちは本殿の扉の前に立った。

扉は錠前がついており、押しても引いてもガチャガチャと音がなるだけだ。

桃「中へ入りたかったらカギを探すしかない」

「わかった」

私は本殿の前に落ちている木の板を拾った。何かに使えるかな。

拝殿に行くとダイキくんがいた。

「今はリュウセイくんと一緒じゃないんだね」

赤「うん、リュウセイは本殿前におる。言い出したら聞かへん」

「一緒にいなくていいの？」

赤「うん。オレは、どうしたってリュウセイみたいにキくことができへんから…」

「それって、お母さんの声？」

赤「うん、リュウセイはよぉキこえるんや。やからオレやイミゴにーちゃんよりもおかあさんの側におろうとする」

「そっか、あの声をリュウセイくんは一人で…」

赤「オレより、絶対マイねーちゃんが一緒におってくれたほうがリュウセイにとって嬉しい」

「え？」

赤「やってキこえるんやろ？おかあさんの声。オレも少しはキこえるけど、リュウセイやマイねーちゃんほどやないから…」

そう言って、ダイキくんはうつむいてしまった。

「確かに私は声が聞こえるかもしれないけど、でもダイキくん、違うよ」

赤「え、なにが？」

「リュウセイくんは、ダイキくんと一緒にいたいって思ってると思うよ。確かに境遇が一緒の人は、同じ気持ちを分かち合えるかもしれないけど一緒に遊んで、喧嘩して、支え合ってきた二人は、それよりもっと強い絆で結ばれてるんだから」

赤「マイねーちゃん……うん、後でリュウセイのとこに行く」

「うん」

桃「へぇ、たまにはええこと言うんやな」

「たまにはって」

桃「強い絆か……」

「どうしたの？」

桃「いや、血と年月やったらどっちが強いんやろうなって思ってさ」

「本当にどうしたの、急に」

桃「何もないよ」