背中合わせの私達

IMPROVE_10 ページ26

「…A、起きれるか？」
『ん、かず…？』
「まだ寝たばっかりで悪いんだが休憩明けだ。…車までだけ頑張れるか」
『だいじょぶ…おきる』
「無理するな、倒れるぞ」


慣れた一未の声に、深い眠りから呼び起こされた。瞼を開いたそこは見慣れない景色で、頭はぼうっとしてハッキリとしない。身体を起こすと、ベッドですらないそれは寝る前に体を沈めていたソファであったようだ。


「Aちゃんは寝起き悪いタイプなのかぁ。かわい〜」
「いや、こいつはちゃんと寝てれば目覚ましとかより先に起きるタイプ。こういうショートスリープでの休憩とかは余計疲れるんだよな…悪いことした」
『…だいじょぶ、起きたよ。ごめんね手間かけて、おはよ2人とも』


少しずつ覚醒した脳が二人の会話と現在の状況を把握する。夜の仮眠を交代で終えた彼らはこれからまた深夜から朝まで重点密行へと向かう筈。そしてその道すがら私を送ってくれる話になっていたのだと。


「ん、大丈夫そうだな。駐車場まで寒いから俺の上着着てろ」
『ありがと…』
「よし！あ、そういえばAちゃんにメロンパン号見せてなくない？！」
『めろんぱんごうとは』
「…来れば分かる、行くぞ」

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