背中合わせの私達

IMPROVE_1 ページ16

UDIでは、個人からの依頼は勿論、警察関係からの依頼も請け負う。例えばこんな殺人事件の現場でも。


「俺たちが現場まで？正気か？鑑識が足りないって俺たちは警察じゃねぇんだぞクソ！！」
『仕方ないでしょ、これも仕事仕事。坂本さんバッグ詰めたー？』
「詰めたよ。Aちゃんキット持てる？」
『大丈夫〜、ほら系さん行くよ、立って車降りて！』


被害者はクリーニング会社の専務。凶器は工具の類、会社で襲われたらしく、犯人は逃走中だと言う情報だけが伝えられている。


『そう言えばこの管轄だとうちの旦那も現場に居るかも？』
「機捜なんだっけ？凄いよねぇ、24時間働くなんて…」
「マゾなのか？」
『マゾどころかドSだけど24時間働いてますね。さ、お仕事お仕事〜』


車を降りた先は二階建ての質素なビル。物々しくキープアウトのテープが張られたそこは何度見ても辟易するもの。くるりと周囲を見渡すが彼らしい人は見つからない。まぁ管轄内とはいえどそう上手くはいかないか、なんてリセットしてからテープを潜り担当者を探す。


『…お疲れ様です、現着しましたUDIのものです』
「お疲れ様です！すみませんね態々お越しいただきまして…」
「本当にな！」
「え…」
『警察の人に絡まないの！すみません、腕は確かなんですが態度に難アリなんですこの人』


警察の謙遜の言葉にそのままの嫌味で返す中堂は流石としか言い様が無いけれどもまた無駄な軋轢を生むだけなので、坂本と中堂を遺体の元へと押しやって情報は私の方で貰うことにした。会社の事務所は2階。階段の中腹で話を聞いていると上から聞きなれた声がした気がして、ふと階段の上へ視線を向ける。


『…陣馬さん？』
「…お！Aちゃんじゃねぇか！久しぶりだなぁ！！」
『お疲れ様です！鑑識が足りないとのことで応援要請があり馳せ参じた次第でして』
「あぁなるほどなぁ。鑑識もそうだがなり手が少なくて仕方ねぇ」
「…陣馬さんこの方は？」

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