天まで届く。【九条天】 (ページ8)

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「どういうこと、また発作出たの？
病院に誰も変なもの置いてないよね、ホコリもないんでしょ？」

朝の9時ごろだった。
向こうのマネージャーからまた電話が掛かってきて、何かと思えば陸。

「……病院、行ってくる」

「気を付けてな」

楽の声も、今の僕には届かない。
何故、その一言しか思いつかない。

病室に入ると、昨日は横にあってつけていなかった呼吸器が、がっつりとついている。
ホコリやダニ？ストレス？

返答は、予想も付かない、簡単で解せないことだった。

「Aと、連絡が取れない……」

陸は、その一言を言うのにも必死で。
咳き込む姿にも気を留めず、僕は説明を乞う。

「電話、掛けても出ないし……けほっ…ラビチャも、つかない………」

この時間は、いつも出てくれるんだ、と言うと、陸は深く咳き込んだ。

どういうこと？“いつも”出るって何？

僕が関わらない間に出来た、深い深い溝。
それを埋めることも、飛び越えることすらも出来ないのか。

「……けほっ…」

その場に立ち尽くすしか、僕にはできなかった。