寒さ ページ2
壮五side
「ソウ、大丈夫か？」
「僕なら大丈夫ですけど……」
「お兄さんには、全然大丈夫には見えないけどなぁ？」
大和さんはそう言い、タバコを口に咥え、フッと息を吐き出す。
この時間の屋上はスーツの下に何か着込んでも、少し肌寒いくらい。
やっぱりこの人には、何もかもお見通しだった。
「……わかるよ、ソウも、Aのこと気になるんだろ？」
「……はい」
「……やっぱりな。
お前さんらが付き合ってたのも知ってるよ、皆。人一倍他人思いで、人を殺めず任務をこなす優秀なやつだったし、それに……」
そこで話すのをやめ、またタバコの煙が視界の端に見える。この人、この調子では近いうちにヘビースモーカーになるのでは、と少し心配だ。
「一番優先的だったのは、お前のことだった。離れたところで仕事して、帰ってきた途端に“壮五、大丈夫？生きてる？”ってさ。
愛されてるなぁって伝わるくらいにラブラブだったよ」
「そ、そんな…」
「で、大人の階段をのぼる前に、か」
あの時に僕が迷わず引き金を引いていれば、あの人は今隣で、皆と笑っていたのかもしれない。
ふとあの人を思い出すことがある。
見た目とは裏腹に暴力的で、でもそれくらい優しくて。誰よりも愛していたし、愛されていた自覚はある。
……あれ、最後のキスはいつだっけ。
あの日、あの時、もう少し傍にいることができたなら…
後悔ばかりしている自分が酷く恨めしい。
きっともう、自分のことなんか覚えていないのでは。そんなことまで考えてしまうほど僕は女々しかったのだ。
そうぐるぐると思い込みながら、夜風に当たる日々を繰り返している。
端末のバイブで、目の前にきらびやかな首都の景色が広がった。
……これが、現実。神様も酷く残酷な人だ。
いや、人を殺め続けた僕が今更、神様なんて馬鹿げている。
「……ソウ、八乙女んとこのお手伝いだってさ。
報酬は山分けらしい、行けるか？」
口元が少し歪んでいる。
ぞくり。背中に、夜風よりも震える寒気を覚えた。
返事はただ一つ。Yes.
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月詠(プロフ) - 紫月さん» 紫月さん、コメントありがとうございます！どこかでお見掛けしましたね、そういえば＾＾ 私も貴女の小説が好きです。まだ女々しい逢坂壮五ですが、頑張ってもっと素敵にしていきたいです。お互い、頑張りましょうね…！！ (2017年1月29日 18時) (
レス) id: 98d4e76db1 (このIDを非表示/違反報告)
紫月(プロフ) - 素敵な逢坂壮五をありがとうございます…(？)あの、この作品大好きなので更新待ってます、頑張ってください！！ (2017年1月29日 10時) (レス) id: 2a5ad171db (このIDを非表示/違反報告)
しゃーむ(プロフ) - 絶対値さん» 楽しみにしていますね^o^絶対値さんを見習って文才、ふふ、増やします…ふふ(・ω・) (2017年1月29日 9時) (レス) id: 3c4a9a3ade (このIDを非表示/違反報告)
絶対値(プロフ) - しゃーむさん» こっこんにちは……！！コメントありがとうございます、励みになります；；文才はね、ふふ、増やせますよ……ふふ…………長い間更新も返信もせずで申し訳ないです(；＿；)これからもよろしくお願いします（*＾＾*) (2017年1月29日 1時) (レス) id: 90121d8cec (このIDを非表示/違反報告)
しゃーむ(プロフ) - こんにちは(^^)素晴らしい文才で、尊敬しております。ストーリーも大変興味を惹かれるものです。ずっと応援しています。完結よろしくお願いします(*^^*) (2017年1月10日 15時) (レス) id: 3c4a9a3ade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月詠 x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年1月5日 2時
