＃08「気まずい」 ページ9
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昨晩の事で、頭を悩ませながら医局に向かう、病院・・・というか職場に行くとは思えない紙袋を持って。
「おはよう、内海先生・・・！？」
『おはよう、白石』
「どうしたのよ・・・え！？」
『あ、緋山』
この紙袋に疑念を持った二人が私に詰め寄ってくる。
「「事情、聞かせてね？」」
『はい・・・』
私は、仕方なく二人に事情を話すことにした。
「へぇ〜、新海って脳外の新海先生のことだよね？」
『まぁ・・・、そうだけど』
「じゃあ脳外時代からの仲なわけだ・・・いいなぁ！私なんて、気まずくなる相手もいないのよ？！」
『そろそろ、渡してくr「内海！」・・・あ、はい』
目の前には、今最も気まずい人新海広紀。昨日の今日だし、いざ本人を前にするとすごく気まずい。
『これ・・・、あの時の服。もう返したから・・・』
「いや、その・・・俺もあるから」
入っていたのは、あの時私が着ていた服。洗っておいたって言っていたのを思い出した。なんだよ、返せって言ったくせにお前もかよ、なんて。相変わらずの減らず口。変わってない。歳だけ食って、今一番情けなかった。
「それじゃ、俺行くから」
『あ、あのさ・・・！』
でも、私が一番言いたいのは、そんな減らず口じゃない。
『ごめん、昨日は・・・これで罪滅ぼしってわけじゃないんだけど』
「映画・・・？」
『私、センスないから・・・前に新海が行きたいって言ってたのを』
「フフッ、内海らしいな。分かった、開けとくよ」
笑ってくれた。それだけで幸せな気持ちになったのはいつぶりだろうか。
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作者名：少年A | 作成日時：2019年9月10日 21時
