＃04「フライト」 ページ5
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「あ、あ、あの！・・・内海先生」
『どうかした？灰谷先生』
「僕・・・その・・・」
『仕事に関係ないようなら後でお願い』
「は、はい・・・」
『ごめん、私ヘリではこんな感じだから。・・・そろそろよ準備して』
「はい」
ヘリを降りるとすぐさま隊員の人が駆けつける。
「交差点での巻き込み事故です。負傷者7名の模様」
『分かりました。ちなみに七名の内、軽傷者などは』
「近くの駐車場で待機させています。重傷患者は1名です」
『灰谷先生は、軽傷者の方をお願いします。何かあれば私連絡を』
「分かりました」
駆け出していく灰谷先生を背に私も駆け出していく。それにしても、初出勤が巻き込み事故なんて・・・幸先悪そう。
『翔北病院の内海です、鈴川さん、聞こますか？』
頭からの出血、脳に何らかの損傷はありそう。他には、触る限り体を強く打ち付けて4カ所骨折はしてるぐらいか。
『冴島、骨盤固定お願い』
「はい・・・内海先生！患者の意識レベルが！」
『切開する。ここで』
「分かりました」
私が何のために脳外科を選んだか。それは、何度も目の前に救いたい人がいたからだ。
『血腫だ、頭を打った時にできたんだろう。切除してから搬送』
「分かりました」
切除も済み、患者を病院に搬送させた直後に灰谷から連絡が来た。
「内海先生！軽傷患者が！」
『すぐに向かう！！』
駐車場に着くと、うずくまっている人がいた。
『翔北病院の内海です。どこか痛いところはありませんか？』
「肋・・・」
『少し触りますね』
右の肋骨折ってる・・・。他にもあと2カ所は折ってるし。
『灰谷！』
「はい！？」
『この患者さん3カ所の骨折。右の恐らく第7から第10肋骨と肩甲骨、上腕骨。処置頼んだ』
これ以外には、いないか。
「先生、救急車来ました！」
『分かりました』
患者を近くの病院に搬送した後にヘリに乗り込む。
「内海、変わってないわね」
『スイッチが入るんだよ』
ヘリに乗ると、自然とあの頃に戻るのだろう。
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作者名：少年A | 作成日時：2019年9月10日 21時
