＃23「失うもの」 ページ24
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今日は当番じゃないため、患者を病院に受け入れてから動き出す。
『・・・来るだろうな』
「内海先生、分かるんですか？！」
『まぁ、手こずってなければの話だけどな』
「は、はぁ・・・」
患者の容態としては、1人は長い時間溺れていたらしく意識がないためヘリで搬送される。場所を聞く限りは、もうそろそろ来るはず。もう1人は意識があるから、近くの病院に搬送したらしい。意識レベルが下がらないといいが・・・。
「来ました！」
『よし』
症状を聞き、処置をしている時だった。
「冴島！」
冴島が、突然倒れた。
『緋山』
「分かった」
とりあえずは、冴島を緋山に任して、処置に専念した。
「患者の容態が安定しました」
『彼をICUに』
手術も終わり、私は冴島の元へ向かった。
『冴じ！・・・ま』
「A・・・」
『いい・・・言わなくていい・・・ッ！』
「A・・・」
あれはもう流産していた。藤川と冴島の子供が。最初の頃の私なら大して思うものもなかったはずだった。でも、今は違う。仲間だから。仲間だからこそ、その倍辛かった。
「内海」
『緋・・・、山』
「なんでアンタが泣きじゃくってんのよ」
『だって・・・』
「分かるけど、一番辛いのは当人たちなんだから」
『うん・・・』
この日は、病院から帰ることはなかった。
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続く (更新停止中)
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作者名：少年A | 作成日時：2019年9月10日 21時
