＃22「支えられない」 ページ23
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『おはよ・・・、藍沢』
「おはよう、内海」
『お疲れ様、昨日は・・・奏ちゃんの手術』
「なんで、お前が」
『一昨日、広紀が言ってたんだ。別にだからどうだってわけでもないから・・・正直、私は奏ちゃんの担当に一回も着いたことがないから分からないし』
藍沢は、一向に口を開こうとしなかった。そして、私もそこに踏み入ろうともしなかった。
「内海先生！」
『白石・・・どうしたんだよ』
「いや、別に・・・？」
『広紀のことか？』
「・・・どうなってるの？」
『いや・・・』
相変わらず忙しくさせてもらってるから会えるわけがない。それに、トロントの件も地味に水面下で動いてもいるし。私は私で忙しいし、広紀にも会うことよりも休む方を優先してもらっている。脳外科の方が神経使うし、疲労は溜まりやすい。
『まぁ・・・ボチボチ・・・』
「そうなんだ。なら良かったけど」
『医者と付き合うってこんなもんだと思ってた』
なんて言ったとしても、正直なところは自分が不安なのを広紀に隠したいだけで、結局は自分のことしか考えてない。やっぱり、そんな器量しかない。
「内海先生」
『どうしたんだよ』
「内海先生は、自分が思ってるより新海先生のこと支えられてると思うよ」
『え・・・』
「新海先生が言ってたんだよね、Aのおかげで俺は自信を持って手術ができるって」
『広紀が？』
「うん」
そうか、なんて。すかして言ってみたが、その顔はにやけてしまってただろう。私は、少しガッツポーズをしてから、診察に向かった。
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作者名：少年A | 作成日時：2019年9月10日 21時
