＃20「これは果たして」 ページ21
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「楽しみだったんだよね〜、内海とのデート」
『で、で、で、デート！？』
「え？デートじゃないの？」
『それは・・・その・・・じゃあ、デート？』
「初めて手術以外で俺の意見に乗ってくれた」
おちょくってくる新海とそれに噛み付く私。これを世間では、いわゆるカップルというのだろうか。
「いざ2人で映画なんて緊張しちゃうな」
『何を緊張することがあるのさ』
「内海、ガチガチ。お前の方がなんで緊張してるんだよ」
『いいだろ』
男の人と2人で映画なんて、学生ぶりだ。もうある程度のキャリアを積んでしまっていることを思い出すと、時間の流れがどれだけ早いかが身を呈して分かる。それに、その相手が・・・。余計なことを考えるのはやめとこう。
「もう始まるし、そろそろ行こうか」
『うん』
新海が気になっていた映画は、意外にもサスペンスみたいな怖いものではなく、恋愛ものだった。正直言って、嘘だろとは思っている。でも、確かに送別会をしたあの日そう言っていたのを覚えているのだ。
『えっ・・・』
え、と声が出るほど自分の想像以上に甘い。前にデートで見た映画はもっとそうじゃなかったはずなのに、すごく歳を感じた。
「あー、楽しかった」
『甘すぎる・・・見てられなかった・・・』
「内海、恋愛映画に免疫なさすぎだよ」
『だって、こんなに日本の恋愛映画が発展してるなんて思わなかったんだもん』
「いつの時代の話してんだ」
新海はそう言って笑いながら私の頭を軽くチョップした。
「今日はどこか店でも入ろうか」
『ねぇ』
「どうしたの？」
『新海って、ホントに恋愛映画とかよく見るの？』
「え？・・・あ〜。いや、そこまで？」
『やっぱり、そうだと思った。・・・じゃあなんで？』
「なんでって？」
『なんで見ようと思ったの？』
「そりゃあ、」
お前に意識してもらうため、と勝気な顔で言われて、私はまた不服そうな顔をしたんだろう。
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作者名：少年A | 作成日時：2019年9月10日 21時
