第54話 ページ4
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これはその聖騎士の魔力の効果なのか。だが、粗方気配と声がした場所を把握していたルノアールは、身動きが出来ないであろう男にしなやかな足で蹴り飛ばす。
「ぐぁ…！」
何メートル先にある木にぶつかったのか、何も見えなかった空間から、倒れ込む聖騎士の姿が認識出来るようになった。
サポートに入っていたディアンヌが立ち上がり、ルノアールの側に近寄っていく。
「まったく、ボク達を襲うなんて百年早いよ」
仁王立ちをしながら、紫の目が男に睨み付ける。
「王女様は」
「うん、無事だよ」
ルノアールに対しては笑みを浮かばせ、エリザベスの姿を確認させる。何が起きたのか解っていない彼女の表情を見て、ルノアールはディアンヌに目配せをした。
……この先の聖騎士の末路を、純粋な王女様には酷過ぎるから。
ディアンヌは静かに頷き、己の手で胸の上からエリザベスを包み込むように視界を塞がせた。
「……お前の狙いは俺だな」
お腹を押さえながら呻く聖騎士の前まで歩き、襟首を掴む。兜越しに泡をくう声が漏れるが、ルノアールの質問に答える気は無いようだ。
殆どの人間に対し良く思っていないディアンヌが、後ろから「賢明じゃないね」と呆れた声が聞こえてくるのに、同感だと思ったのはルノアールも同じ。
パッ。と手を離し、ルノアールは男の前にしゃがみ込む。
「そうか」
ならば仕方ないとばかりに右手を横に振る。
何もない動作。のはずが、男の左腕が胴体と離れた。
「あﾞあァああアアあッ！！！｣
獣のように吼え、無くなった自分の腕を押さえる。
聖騎士の足元には大量の赤が広がっていき、地面を汚していくのを何事もないようにルノアールは見つめる。
｢誰の命令でここまで来た……のは、解りきった事だけど」
町・バイロンにいた時、自分達を遠距離から監視させる奴なんてあの男しか思い浮かばない。
その名をあえて口にしないルノアールだが、聖騎士が一瞬たじろぐのを見逃すわけもなく、揺さぶり続けた。
「よく俺がルノアールだって解ったな。ほとんどの奴はアイツの力で記憶を上書きさせたんだけど」
「………っ」
冷酷な眼差しに堪えきれず、男は観念し口を開こうとした瞬間、金属が擦り合うような不愉快な音が聞こえた。
思わず片方の耳を押さえ、ルノアールは聖騎士から数歩後退する。
「……ルノ？どうかしたの？」
不思議そうに尋ねてくるディアンヌに、この耳障りな音が聴こえるのはどうやら自分だけだと察した。
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ぽえたた(プロフ) - コメント失礼します。この作品はもう更新されませんか、、？大好きな作品なので続きがとても気になります！ (6月13日 20時) (
レス) id: 2d9b4da083 (このIDを非表示/違反報告)
焼き鮭(プロフ) - 凄く面白いです！続き待ってます！ (2022年11月19日 23時) (レス) id: 64769613b0 (このIDを非表示/違反報告)
古都(プロフ) - 続きをいつまでもお待ちしております。 (2022年9月14日 23時) (レス) @page10 id: 3a7d61f519 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しく思います。楽しみに待ってます。 (2021年11月20日 16時) (レス) id: e9f0e4b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
だんご - お、終わり…？ (2019年8月8日 9時) (レス) id: d20d94dd05 (このIDを非表示/違反報告)
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