俺と彼女の恋物語はなにかが可笑しい (ページ3)

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よく解らない彼女の真意ページ3

ラーメンは美味だった。
思わずポイントカードを手に取ってしまった。

いや、違うそうじゃない。

満足そうな雰囲気を出す冬野原さんは、俺が食べ終わったことを確認して席を立つ。
会計を別々に終え、無言のままで歩いた。

・・・やはり、俺の告白は「(ラーメン屋に)付き合ってください」と思われたらしい。
浮かれてた自分が阿呆らしい。
もう何も怖くない、とか死亡フラグを立てたのが原因だ。
俺は黄色い魔法少女のように、地獄から這い上がってきた男たちによって首と頭をgood-byeさせられてしまった。

というか意外だ。
まさか彼女もラーメン好きだとは。
つまり、俺に声をかけようと思ったというのはラーメン関係らしい。

『藤谷時也です。好きな食べ物はラーメンです』

とかなんとか自己紹介で言った記憶がある。
過去の俺よ、ナイスだ。

しかしそうも言ってられない。
結局は俺の気持ちは伝わっていないのだから。

「じゃあ私はこっちだから」

「と、冬野原さん！」

「・・・？」

「す、すすすすすすす、」

言えねぇ！！

どうしても「好き」という単語が出てこない！
なんだ、俺の理性(声帯)は彼女に断られることを全力で拒んでいるのか！？

「す、素敵なラーメン屋に連れてきてくれてありがとう！今度また俺のお薦めも紹介するよ！じゃ、また明日！」

「そうじゃねぇだろ自分んんんん！！」

「時也！煩い！」

下の階から聞こえる母親の声を無視して、勉強机の角に頭を叩きつける。
なにが「お薦めも紹介するよ！」だ！
何をどうしたら告白がそれになるんだ！
ラーメン愛を彼女に告白してどうするよ！？

あぁ、もうやだ。
今すぐにでも死んでしまいたい。
いっそ屋根から飛び降りてみたらどうだろう。
案外タイムリープ能力が宿っているかもしれない。

屋根まで登ったが、母親の拳骨を食らって思い止まった。
というか第一声が「制服汚れるでしょうが！」ってなんだ。
息子の命を心配してはくれないのか。

「明日、気まずいな・・・」

いや、そんなこともないのか。
俺と彼女はラーメンを食べに行っただけなのだから。
そうだ、しかも「お薦めも紹介するよ！」とか言ってしまっていた。

・・・・・・ん？

これを口実にまたデートできるんじゃないか？
しかも二人きりで。(ラーメン屋だが)

ナイスだ、俺の理性(声帯)。

これならまだ告白のチャンスはある。
明日こそ彼女に「好きだよ、時雨。(イケボ)」と言う！

決意を胸に、俺は制服をハンガーにかけた。