居酒屋妄想日記 ５冊目

爆発 ページ18

〆．



パントリー初心者のミスの一つに、爆発がある。



あ、私が勝手にそう呼んでるだけなんだけどね。



これは、のんちゃんが初めてパントリーの片付けを任された時の話。



私はまだ入りたてで、仕事を覚えるべくいろんなバイトさんの動きを見ていた。



紫「よっしゃのんすけ！パントリーの片付け方教えたるわな！」



ラストーオーダーが終わり、あとは客席に何組か残っている人達がお会計を済ませ帰るのを待つだけ、の状態。



つまりもうドリンク作らないし、パントリーは片付けていいんだ。



やる気満々ののんちゃんは、嬉しそうに返事をしていた。



紫「まずビールな、樽と管外すねん。これはいつも交換しとるしできるやろ？」



桃「できる！」



まあ、なんかストッパーみたいなの上げて、ペットボトルの蓋開ける要領でくるくる回せばそれは終わる。



紫「次にな？こっちに、水入れんねん」



はまちゃん先輩が取り出したのは、ビールの樽とほぼ同じ形状で、それより一回りも二回りも小さいやつ。



紫「衛生的なこと考えてな、仕事終わる時は毎回やるねん。管に水通して綺麗にする。はい、つけて」



さっきと逆の順序で、のんちゃんがセットする。



そしたらビールが出る場所から、最初管に残ってたビールが出て、後で水が出てくるようになる。



それで、一度樽と接続してた方のストッパーみたいなのを上げて、樽のボタンを押してガス抜きをする。



そう、ガス抜きをしなくてはいけないの。



ぷしゅーって。



それしないと……



紫「あ、のんすけ！！」



桃「え？」



ボン！！ビシャーっ！！！



「……………………」



桃「……………………」



紫・橙「「……………………っ、ふ、」」



橙「はっはっはっは！！やりよった！！新人の洗礼やー！」



紫「ふへっ、だ、大丈夫かあ、はははは！！」



爆笑する二人に、唖然とする私たち。



橙「ガス抜き……へへ、せな、開けた時っ、ガス、……ふ、爆発するから、」



紫「タオル！タオル！はっはっはっ！！」



まあつまり、樽の中の水も衝撃で飛び出してくるわけです。



はまちゃん先輩は瞬発力で避けたみたいだけど、近くにいたのんちゃんと私はびしょ濡れ。



もちろんパントリー内とカウンターも。



橙「あ、ちなみにもっかいその作業やからな」



桃「？！」



〆．

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