居酒屋妄想日記 ４冊目

魅力的 ページ45

〆．



その後も、皿洗い中に来た注文はササッと作ってくれたり、



ビールが切れた時にいつの間にか新しい樽に変えてくれていたり、



パントリーの片付けは振り向けば完了していたり………



はまちゃん先輩って何者！？



あ、ちなみにのんちゃんはお客さんに逆ナンされてたから違う。



照史さんもキッチンに集中してたし。



なんせ、はまちゃん先輩がいなかったら気が狂ってたと思う。



「ほんっとーに、ありがとうございました！」



紫「ええって、ホールは暇やってんから。注文聞くかお客さん案内するくらいで」



「謙虚ですよね…」



のんちゃんが、疲れ果てて眠すぎて早々に帰ったから、はまちゃん先輩と二人でまかないタイム。



なんだかんだお客さんもシフト終わる時間には全員帰ってて、



社員の淳太さんは最後まで残ったりするんだけど、はまちゃん先輩はバイトだから一緒に上がった。



「どうしてそんなにかっこいいんですか？どうしたらはまちゃん先輩……あ、崇裕さんみたいになれますか？」



紫「んぇ、俺かっこいい？」



「かっこいいですよ！仕事出来る人って……魅力的です」



紫「ふーん……」



崇裕さんは、飲んでいた水のグラスを置き、艶っぽい目で私を見た。



紫「俺の魅力は、仕事が出来るとこだけちゃうよ？」



あ、仕事出来るの認めた。



……なんて考えてる間もなく、色気にやられる。



「崇裕さん……」



そうだった。



崇裕さんと両想いなんだっけ。



恥ずかしくて俯くと、顎をクイッと持ち上げられる。



「え……、」



紫「こっち向いてや、寂しいやん」



口調は柔らかいのに、その眼差しは獲物を見つけた獣のよう。



私の顔、真っ赤なんだろうな。



崇裕さんの親指が、私の下唇をなぞった。



紫「この口紅、全部ぬぐってまおかな」



もちろん、俺の唇で。



……そう言って笑うから、ドキドキが大きくなるばかり。



「…………今、ぬぐうくらいで終われるならどうぞ」



声が震える。



崇裕さんは目を見開き、



紫「かなわんな。無理や、止められへん」



と、私から手を離した。



紫「お預けかぁ、きっつ」



困ったように頭をかき、崇裕さんは私の分の食器も持って一階へ降りていった。



〆．

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