居酒屋妄想日記 ４冊目

眼差し ページ16

〆．



橙「ほんま危ないから！ねずみ花火10個一斉にとか聞いたことないし！」



青「別にええやん」



緑「おもろ」



橙「神ちゃん！？」



りゅうくんを追い払った(照史さんに押し付けた)淳太さん。



黄「何やってもかっこつくしな、流星は」



「淳太さんもそうじゃないですか？」



黄「俺？」



「はい。いつもかっこいいし……あ、だから今日はしゃいでて、その可愛さのギャップにやられそうでした」



ふふ、と笑うと、淳太さんは少し口角を上げた。



黄「ギャップにやられそう？じゃあやられはせんかったんか」



「え…」



黄「でもギャップ萌えしてもらいたいわぁ。そのために、まずは大人の俺に慣れてもらっとかなな？」



詰められた距離。



鼻がくっつくほどに近くて、一気に心拍数が上昇する。



「……このまま目を瞑ったら、淳太さんはキスしてくれますか…？」



淳太さんの瞳は綺麗だ。



いつだって余裕そうで、でも誠実さがすごく伝わってくる。



信頼のおける眼差し。だからこそ誘引される。



黄「………………っ、」



その瞳を揺るがせてしまえることを、少しだけ嬉しく思う。



「………冗談です」



持っていた花火の火花が収まったので、バケツの水に突っ込んだ。



音すら経てずに、花火は熱を失った。



自分を、最低だと思った。



固まる淳太さんには、照史さんが駆け寄った。



期待させるだけさせて、結局気持ちに応えられてないのは自分。



次の花火に手を伸ばそうとして、やめた。



「お手洗い行ってきます」



緑「はいはーい」



逃げるようにその場を去る。



本当にお手洗い？



そのまま、闇夜に紛れて消えてしまう方がいいんじゃない？



小さく息をついた。



私が七人に気持ちを伝えてから、七人の態度が顕著に変わった。



でも、それによって誰に気持ちが傾いたとか、そんなことはなくて。



ただ嬉しくて、照れくさくて、もらってばかり。



とりあえずお手洗いには行ったけど、テラスには戻らず、(テラスのすぐ隣だけど)リビングスペースでお茶を飲んでいた。



紫「はー、おもろ！」



リビングスペースとテラスの間の段差に座り、私に笑いかけてきたのははまちゃん先輩。



次から次へ……一人になるタイミングがないなぁ。この人たちといると。



〆．

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