居酒屋妄想日記 ３冊目

わがままと赤い顔 ページ12

〆．リクエスト



「えっ？………本当に行くんだ」



青「何が」



「い、いえ……」



先日、智洋先輩が八人でご飯を食べに行こうと。



その時に、私の気持ちを七人に伝えてほしいと。



そう、言われたのだけれど。



「本気だったとは」



まあ、智洋先輩は有言実行タイプだからね。



青「で、いつ空いてんの。Aの予定が一番大事って言われた」



「私の？……ああ、そっか。えーと、空いてる日は………」



ちなみに今は家。



流星先輩とシフトが被る日はいつも家まで送ってくれて、なんなら泊まってく。



おかげで寂しくなくて……それから心臓がうるさい。



好きな人が、自分のことを抱き締めながら眠るんだよ？



流星先輩もドキドキしてるのかな。



「あ、この日とこの日、空いてます」



青「へえ」



スケジュール帳を二人で覗き込む。



顔が近くて、思わず逸らしてしまった。



青「A？おーい」



「……………っ、」



無理やり流星先輩の方を向かされる。



青「……は、何その顔」



体温がじわじわと上がってくる。



青「……………そんなんさ、期待するに決まってるやん」



流星先輩の顔が近づく。



「……流星先輩、聞いてください」



呟くように言うと、流星先輩は大人しく元の態勢に戻った。



「智洋先輩にはもう伝えたんですけど……」



八人でご飯行く時に言えばいいんだろうけど、



一度に全員から非難されるのは心がつらい。



あえて小出しにして、自分のダメージを減らしたいっていうずるくて最低な作戦。



「私、七人ともが好きなんです」



青「…………………七人、とも？」



流星先輩は目をぱちくりさせる。



「はい……。七人のことが、恋愛として、好きです」



たった一人に絞れない私のわがままは、智洋先輩は受け入れてくれたけど、



普通は呆れさせてしまうことだろう。



私への気持ちも冷めてしまうかもしれない。



それでも私は、七人に惚れてしまったし、



気持ちを伝えてくれたみんなにこたえる義務があると思う。



恐る恐る流星先輩の方を見ると、



「…………へ？」



「……………ッ、」



流星先輩は口元を手で覆い、顔を真っ赤にしていた。



〆．

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