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あれはいつのことだったっけ。たしか、一緒に終礼前に抜け出してしまおう、って約束をしたときだったかな。生憎僕達はクラスが違かったから学校で接する時間は多くない。でも帰るときは一緒だった。


「お、来た来た。帰ろ。」
「おん。」
「……具合悪かった?」
「ちょっとだけ。まあ大丈夫だろ。」
「そう?」


風邪引いたら看病しに行くよ。そう言ったらスンチョルに窓から?と半笑いで茶化された。でも事実玄関からじゃなくて窓から入ることの方が多いので頷いておく。


「……あ、スンチョラ、店寄ってっていい?」
「ん、なに買うの?」
「え〜何にしようかなあ。」
「お前いっつも甘いもん飲むじゃん、今日はお茶にしなよ。」
「健康のために?」
「そうそう。」
「あれ、新作じゃん。」
「菓子見て新作って言うのはじめて見た。」
「そう?もう五回くらいやってる気がするけど?」
「んじゃ忘れてたんだ。お前ってちょっとませてるよなあ。」


ませてるって言われるのは少しむず痒いような気がした。僕はなんの変哲もない君と同じ学生だと言うのに。静かに指先を絡めるスンチョルの方がずっとませている。そうやって何回僕の事をドキドキさせてきたことか。
適当に茶と予定になかった菓子を買って店から出たところで、男の人に声をかけられた。
スンチョルが僕の腕を引いて僕を後ろにやる。


「何ですか。」
「あ、怪しいものじゃないんだけど……芸能界とか、興味ない?」


そう言う男の手には名刺。


「なるほど、ね。」
「何だよ〜、心当たりある?」
「無いけどある。」
「どっちだよ!」


閑話休題(それはさておき)
僕達はスカウトを受けていた。とうとう見つかっちゃったね、なんて茶化しておく。


「もしよかったら二人とも……。本当に、少しでも興味があったらで良いから!」
「僕も含まれてるの、かな。」
「らしいな。」


手にハグされてぐしゃぐしゃになった名刺を見て男性は焦って、それから新しい名刺を取り出した。そこには氏名やら事務所の名前やらが書いてある。でもその人の名前がなんだったかは覚えていない。


「プレディス……プレディス、ね。」
「知ってる?」
「知らないかなあ。」
「明日の午後五時に事務所に来てほしいんだ、ここなんだけど……」


必死にお願いします、と懇願する彼は一体僕達に何を見たのだろう。




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・→←#01 予感



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第n回じめじめ大暴れ(プロフ) - Keiyaさん» わ〜ありがとうございます……!生々しさがちゃんと表現できているようで安心しました😌 (2023年2月22日 16時) (レス) id: b6d7c5641a (このIDを非表示/違反報告)
Keiya(プロフ) - どの文を切り取っても鬱蒼としているのに耽美ですが、特にp9の最後の一文が好きです。詩的というには思春期の生々しさがあり、とても魅力的な二人に映ります。 (2023年2月22日 15時) (レス) id: 4b5e1eb1f2 (このIDを非表示/違反報告)
けもの(プロフ) - 多分続編に移行します 次の話からかな (2023年2月9日 22時) (レス) @page49 id: b6d7c5641a (このIDを非表示/違反報告)
けもの(プロフ) - 受験があるのでもうしばらく更新とまります もしかしたら合間に更新あるかもしれませんが (2023年2月3日 21時) (レス) id: b6d7c5641a (このIDを非表示/違反報告)
けもの(プロフ) - ちょんちょんいさん» ありがとうございます〜、もうじき更新できそうなのでゆっくりお待ちください〜 (2023年1月8日 11時) (レス) id: b6d7c5641a (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2022年12月31日 3時

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