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「宿舎には魔王が一人いる……!」
通りすがりにスニョンの声がした。あらかた新しく一人入ってきた子……チャニにうきうきしているんだろう。チャニもダンスが上手だと聞いたし、加えて以前テレビで見たことがある子となればそれはスニョンイが舞い上がらないわけがない。
「魔王?宥めておいたよ。ミンギュが水ぶっかけたんだってさ。」
「うわあ大惨事……あ、この人はAヒョン。」
「Aヒョン、もといカン・Aです。」
自己紹介と共に手を振って応える。スニョンが手を振り返してくれた。
「この人が……!!」
チャニのその反応が不思議だった。僕、そんなに有名になることしたっけ?
「さっきヒョン達の紹介したんだよ。」
「そうなんだね。」
「イ・チャンです!よろしくお願いしますねヒョン!」
若さが眩しい。どうやらスニョンの目には僕が怠惰だけどやるときはやってくれるヒョンらしいヒョン、だと映っているらしく、チャニにもそう言ったらしい。
「僕、全然ちゃんとしてないからね?」
「え〜い、宿舎の掃除も気遣いもしてるじゃ〜ん!」
「気遣い?」
「ウォヌとハンソリが言ってたけど?」
何恥ずかしがってるんですか〜と腕をつつかれる。別に恥ずかしい訳じゃないけども。こうも褒められるとは思ってなかったから。
「そのつもりは無いんだけどね。まあ、
「皆結構自由そうですもんね。」
「チャニはしっかりしてそう。」
「お!分かります!?弟が居るんですよ。」
ふんす!と胸を張るチャニが微笑ましい。弟さんの名前はゴンと言うらしい。スニョンも暖かい目で見ている。スニョンにはお姉ちゃんが居ることを言えばチャニは驚いたし当の本人のスニョンは何故か照れ臭そうにしていた。男兄弟に囲まれてそうなのはわかる。
「Aヒョンは弟さんとか妹さんとか居ないんですか?」
「あ、それ俺も思った!」
「……居ないかなあ。」
本当のところは、居るんだけれど。皆みたいに仲は良くないから血が繋がってるだけの赤の他人。
強いて言えばスンチョリがそれに近いかも。一言付け加えると謎に感心された。
「まあ、スンチョリにはお兄ちゃんが居るんだけどね……。」
「Aヒョンって謎に人の家族構成に詳しいよね。」
「話しやすいから。」
「話しやすいんですか……?」
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第n回じめじめ大暴れ(プロフ) - Keiyaさん» わ〜ありがとうございます……!生々しさがちゃんと表現できているようで安心しました😌 (2023年2月22日 16時) (レス) id: b6d7c5641a (このIDを非表示/違反報告)
Keiya(プロフ) - どの文を切り取っても鬱蒼としているのに耽美ですが、特にp9の最後の一文が好きです。詩的というには思春期の生々しさがあり、とても魅力的な二人に映ります。 (2023年2月22日 15時) (レス) id: 4b5e1eb1f2 (このIDを非表示/違反報告)
けもの(プロフ) - 多分続編に移行します 次の話からかな (2023年2月9日 22時) (レス) @page49 id: b6d7c5641a (このIDを非表示/違反報告)
けもの(プロフ) - 受験があるのでもうしばらく更新とまります もしかしたら合間に更新あるかもしれませんが (2023年2月3日 21時) (レス) id: b6d7c5641a (このIDを非表示/違反報告)
けもの(プロフ) - ちょんちょんいさん» ありがとうございます〜、もうじき更新できそうなのでゆっくりお待ちください〜 (2023年1月8日 11時) (レス) id: b6d7c5641a (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2022年12月31日 3時