優しさに包まれて【宮治】 (ページ4)

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あんた以外に誰がおるん

その言葉でハッとなり『そっか私だけか…』と呟いて席に座る。

それを聞いて｢え、もしかして俺には見えん何かがおるん？？怖い｣と周りをキョロキョロする店員さん。

見かけによらず子供っぽい所があるようだ。

背が高くて体格も良くてくりくりとした目で整った顔立ち。

こんな人が俳優とかモデルとかじゃないのが勿体ないくらいのイケメン。

『目の保養。おおきに』

｢何言うてんや。ええからはよ食べ！｣

ビシッと効果音が着くくらいの勢いで指を刺される。
その指を辿った先にある2つのおにぎりに視線を移す。

空っぽのお腹を抱えた私にはおにぎりでも高級料理並みに見えてくる。

｢取り急ぎ作ったからツナと明太子しか無かったんやけど、苦手やったら言うてな｣

『大丈夫です。どちらも好きです。ありがとうございます神様』

仕事の神には見放されてたけど、食の神はまだ私を見捨てていなかったようだ。

いただきまーすと無気力に手を合わせて目の前のおにぎりを1口頬張る。

途端にさっき店外で香った匂いがふんわりと口の中に広がり、握り立てであろうホカホカした温度が体に広がる。

『お、美味しい……！！あっ、』

あまりの美味しさに感動して、つい大きく声に出してしまった。咄嗟に店員さんを見ると目を大きく開いてぱちくりしてる。引かせてしまったか…

『す、すみません、ついあまりの美味しさに感動してしまって』

｢めちゃめちゃ嬉しい！！ありがとなぁ｣

そう言って店員さんが無邪気な笑顔を咲かせる。
あまりの笑顔の眩しさに目がくらみそうになったと同時に胸の奥がきゅっとなる。

久しく忘れていたその感覚に今は気づくことが出来ず、ぼーっと店員さんを見ていると｢どした？お客さん？｣とまたくりくりの目を大きくしてこちらを覗いてくる

とっさに照れくさくなって『いえ…』と目を逸らし、その後は黙々とおにぎりを食べた。