〇 ページ2
.
『お疲れ様でしたー・・・』
散らかったデスクを適当に片付けてほとんど誰もいないオフィスに挨拶をする。
どこからか「おー」「おつかれー」とチラホラ声が聞こえた。
時計を見れば既に20時前を針は指していて小さくため息を漏らす。
これでもまだ早く帰れた方だ。
東京から兵庫の支社に異動してきて半年、様々な新しい仕事を振られて帰れない日々が続いている。定時退社なんてもういつからしてないだろうか。
『せっかく東京に出たんに結局こっちに戻されるし帰れへんし、私なにか悪いことしたんかなあ神様』
全然心当たりがないんやけど
とべそべそ文句を垂れながらもお腹すいたなあ、でも帰って作る気力ないなあと考えながら歩く。
実家に帰りたいけど、毎日京都から通うのがめんどくて会社から歩いて15分のアパートで一人暮らしをしている。
お母さんのご飯が恋しい。
『あれ、ここどこや』
そんな思いに耽っていたら気づけばいつもと違う道を歩いていた。
こっちに来て半年も経つのに方向音痴で土地勘もないから現在地がどこなのかさっぱり分からない。
『家、家どこや…』
疲れている上に空腹状態の頭は働くことを放棄していてパニックになる。
このままじゃ野宿や
そう思った瞬間、どこからか良い匂いがすうと通り抜けた。
導かれるようにしてその匂いの方へと歩みを進める。
知らないはずなのに、どこか懐かしくて、温かい香り。
匂いを辿り、行き着いた場所には1軒の店があった。
『…おにぎり、宮…?』
140人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:るた | 作成日時:2021年10月12日 0時