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あれ、この声どこかで聞いたことがある。
ハッとしてドアの方を見るとそこに居たのは紛れもなく
『み、宮さん?!』
あのおにぎり宮の宮さんだった。
うそ、ほんまにおにぎり宮が来てしもうた。冗談のつもりやったのに。
驚きすぎて咄嗟に大声で名前を呼んでしまい、オフィスに居る人達と、もちろん本人である宮さんが一斉にこちらを見る。
治「およっ?!あの時の…えっと、七瀬さんやないの!」
2週間も経って1度しか来ていない客、恐らく忘れていたであろう私の存在を瞬時に思い出して名前で呼んでくれた事に少し嬉しくなった。
『な、なんでここに?!』
治「うち、配達もやっとってな〜今日はここの人から正午に届けるよう注文があったから来たんや」
そう言うと注文したであろう人がこちらに来たためお金を受け取り、「まいどーまたお願いします」と営業スマイルをする宮さん。
治「七瀬さん、ここで働いとったんやな」
『そうなんです、半年ほど前からこっちに来ました』
治「ほーん、来たってことは元々ここらの人やないん?」
『あ、いや、私は、「七瀬〜こっちの資料も頼む」
あ、はい部長!!すみません、私はこれで失礼します』
治「おう、お仕事頑張ってな」
『はい!』
ぺこりとお辞儀をして席に戻ろうとしたその時
治「あ、七瀬さん」
再び宮さんから声を掛けられる。
治「また暇な時、うちの店来てな」
『あ…』
治「仕事忙しいやろうけど、うちの店おもろい人ようさん来るから少しは気晴らしになるかもしれんし」
『は、はい』
治「あ、でも今度はあんな死にかけゾンビやのうて元気な状態で来るんやで」
『ちょ、それは忘れてください!』
治「あはは、すまんすまん。ほな、またな」
そう言っていたずらっ子のような笑顔で宮さんはオフィスを出ていった。
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作者名:るた | 作成日時:2021年10月12日 0時