Tomcat 2【藤原樹】

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樹side








「ふぅ…」


樹「朝から飛ばしすぎ笑」









絶叫マシンが大好きらしいAは、何度も楽しそうに繰り返して乗った結果、疲れ果てて休憩





会社にいる彼女からは想像出来ないくらい
無邪気で素直で、可愛い、と思わせる





夕陽はすっかり沈み、ネオンが煌き出した









「楽しくってつい、年甲斐もなく…笑」


樹「まだ若いだろ笑」









えへへ、とおどけて見せたAは、６月手前の肌寒い風に小さく身震いをする









「あ…ありがとう」


樹「ん、」









太ももの上に置かれた手を取って握ると、小さくて華奢な手から、じんわりと冷たさが伝わる









「あったかいね」









ニコリと笑って目を細めたAを見て、隣で手を繋ぐこの特等席を誰にも渡したくないと思った





すると、彼女の奥のアトラクションが目について









樹「あれ、乗りたい」


「観覧車…？珍しいね」









２人になれる空間が欲しかったのかもしれない





これ以上無いくらい近くに、Aという存在を真に感じたかったのかもしれない





ネオンで彩られたアトラクションに囲まれながら、２人で手を取りながら歩く









「観覧車なんて、何年振りだろう」


樹「俺もいつぶりか分かんないくらい」


「ほんと？ワクワクするなぁ〜」









乗りたいと言った俺より楽しそうに目的地へ向かう





こうやってどんな事にでも全力で楽しむ彼女と一緒の未来が自然と浮かび、頰が緩む









「藤原樹も楽しい？」


樹「え？」


「なんか、嬉しそうだなって」


樹「…めちゃくちゃ楽しんでる」


「…んふふ笑」


樹「笑い方笑」


「これ藤原樹の笑い方だからね？笑」


樹「俺そんな？笑」









俺の笑い方を真似したらしい彼女





くだらない事で笑えるこの空気が、堪らなく好きだ





そんな笑い方してないけどね？









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目的の場所へと到着すると、カラフルな箱に乗り込み、楽しそうに笑顔で笑い合う恋人達の姿





どうぞ〜と促され、先に乗り込み手を伸ばす









樹「ほら」









少し照れたように乗せられた手を引っ張ると、赤い箱は夜の空へゆっくりと上昇していく









「なんか…緊張する」









火照った頰と照れた表情に、胸がどきっと高鳴る









樹「…俺だって緊張してる」









隣に座り、彼女の手を取り胸へと誘導すると、小さな手が心臓の音を確認した




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