Tomcat 2【藤原樹】

lover ページ48

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樹side







「何から乗る！？やっぱり絶叫系！？」









緩く巻かれたポニーテールがふわふわと揺れ、目を輝かせる少女の中に、大人の女性が交じって香る









樹「怪我すんなよ？」


「過保護だなぁ、笑」


樹「一応治ったばっかなんだからね？」


「大丈夫だよ！ほら、この通り」









黒いvansのスニーカーで地面をトントンと鳴らされ





スラッと伸びた長い脚を惜しげもなく披露したショートパンツから、思わず視線を逸らす





治った足で遊園地に行きたいと言った彼女のリクエスト通りの、初デート









樹「分かったから…何乗りたいの？」


「うーんとね…あれ！」


樹「よし、行くぞ」


「ふふ笑 藤原樹こそ怪我しないでよ？笑」


樹「心配無用だね」









手を取って歩き出すと、照れたようにはにかんで、隣に並ぶ為に小さく小走りをするA





彼女が羽織る、大きめのネイビーブルーのチェックシャツが、風に吹かれてふわりとなびいた









「天気も良くて最高だねぇ」









夏に近付き太陽が高く昇った空





上気した彼女の頰に指の裏で触れると、大きな目がチラリと此方を覗き込んだ









樹「暑くない？」


「ん、平気。でも後でアイス食べよ」


樹「バニラでしょ？」


「何で分かったの？」


樹「顔に書いてある」









絶対嘘じゃん！と笑いながら、着々と進んで行く列に沿って前に詰めていくA









「でもさ、いつも話をする度に、エスパーかもって思ってたんだよね、藤原樹のこと」









手を後ろに組んだ彼女に、顔を覗かれる









樹「何で？」









徐々に自分達の乗る順番が近付き、
遂に次まで迫った時









「何でも分かっちゃうんだもん、私の事」









くるりと振り返ってそう言った









「全然分かってないって思う時もあったけどね？」









お二人様此方へどうぞ〜と促され、嬉しそうに席へと向かう彼女の後ろを追う









樹「いつよ、それ」









えー？とニコニコしながら席へ着き









「藤原樹じゃなきゃ
ダメなのにって思った時とか？」









と口にすると、悪戯っ子のように笑う









樹「…確信犯でしょ」


「え？あ、ほら動くよ！」









手をギュッと繋がれ、動き出すジェットコースター





この調子だと、名前呼んでもらうのも夢じゃない…





どこでそんなドキドキさせる言葉覚えたんだか





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