Tomcat 2【藤原樹】

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優しい目と、薄く開いた唇









この表情で、いつも彼は私を慰めてくれた









強がって見せても、本気で落ち込んだ時も、どんな時でも変わらず傍に居てくれたこと









近くに居すぎたからこそ、全然気が付かなかった









樹「泣き虫」









パーカーの袖で、照れ臭そうに流れた涙を押さえてくれた時も、頰を撫でている今も









藤原樹はいつだって、私の事を想ってくれていた









「他の人の前では泣かないよ」









その瞬間、頬を撫でていた手がピタッと止まり、そのまま手が背中へと回り、引き寄せられる









「…わっ」









ふわりと抱き締められると、爽やかなのに
ほんのり甘い香りに包まれた









「どうしたの…？」


樹「…こうしたくなった」









甘えるように、ぎゅうと抱き締めてくる彼の背中に手を回すと、思ったよりも大きくて









その瞬間、好きな人が、好きな"男の人"へと変わる









樹「…ねぇ」









抱き締められたまま、少しだけ低めの声が響く









「ん？」









そのまま返事をすると、ゆっくりと身体を離され、背中に回っていた両手が首元へと回り









至近距離で目を合わせられる









樹「もう、A以外とか考えらんない」









甘い一言に加えて、切なそうな表情を魅せられ









樹「これからも傍にいてやる」









綺麗な瞳が、ゆらりと揺れて









樹「…Aは俺の彼女だから」









どことなく照れながらも、男らしくそう告げた









「…ふふ笑」









思わず笑ってしまうと、笑うなよ、と目を逸らす









「傍に居てね、ずっと」









これからも、ずっと傍に。









照れ臭そうにしていた彼は、その一言にニヤリと口角を上げ、顔をぐいっと引き寄せる









樹「…離すわけないから」









惹かれ合うように唇を寄せた藤原樹に、優しく甘い、キスを落とされた_________









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幾度となく遠回りをしたけれど









知らぬ間にこんなにも惹かれていた









特別な瞬間じゃなくてもいい









一番傍に居てくれる、大切な人に気付けたらいい。









魅せられる表情に、何度も落ちていくような









猫のように自由で、気付けば傍に居るような









そんな藤原樹との、幸せな未来を描いて___









【Fin】


Tomcat . 藤原樹




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